【第二章】~禁止エリア編~ ⑤異世界から異世界へ~焼き鳥をそえて~
魔法陣に立つと、目の前がぐわ~ん、ぐわ~ん、ぐわ~ん、となった。
ドラ〇エの旅の泉みたいな感じ。
そして、数秒か数分か時間の感覚はよくわからないが、どこかについた感覚がした。
うっすら目を開けると、そこには異世界が広がっていた!
青々と茂った大草原!
(飛んでいたタンポポの巨大綿毛がそばに落ちたらドスっていった・・・)
空を見上げると、さんさんと輝く3個の太陽!
(汗がダラダラ・・・)
飛んでいる大きな鳥。
(なんかデッカイのが沢山飛んでる・・・)
横を見ると広がる大海原!
(タコのデッカイのが背泳ぎしている・・・)
聞こえてくる鳥の鳴き声!
(ギャーギャー鳴き喚いている・・・)
後ろを見ると
大きい原生林!
(暗くてオドオドしい・・・)
うん!なんて素晴らしい場所だ!
未来の異世界には存在しないリアルな環境がそこにはあった!
目を意識的につぶり、手を広げその環境を満喫していく。
「異世界は、やっぱ、これだよな~!」
そう呟いて、少し異世界の異世界を満喫したあと、何となく見たくなかった前を見てみた。
吹き飛ぶ身体。。。
(うわ~腕が飛んでる~。。。あ、鳥がそれをくわえて持ち去った。。。)
飛び散る血しぶき・・・
(そこら辺に血だまり出来ているよ・・・)
こだまする野太い声
(オッサンのデカい声は、異世界にはいらんだろ)
≪ぶっ〇すぞ~!≫
≪てめ~こそ〇にさらせや~!≫
≪返り討ちにしてやるわ!≫
そして、オイラに対しても野太い歓声が・・・
≪てめ~何もんだ~、変な服着やがって!ぶっ〇して、みぐるみはいてやる~!≫
「異世界は、やっぱ、これだよな・・・」
そう呟くと、回れ~右をして、魔法陣を探し出すオイラ。
しかし、周りを見渡すも、魔法陣らしきものは見つからなかった。
どうやら魔法陣は一方通行らしい・・・
目の前には槍を持って甲冑を着たみすぼらしいオッサンが、狂気の目をランランと輝かせ、こっちにやって来る。
こういう時には、変に冷静になってしまうオイラ。
この状況を考えてみた。
まず、これは、映画とかで見たことあるアレだな。
戦国時代
なんか集団同士で戦っているしな。
槍とか剣とか旗を持っている人間もいるし。
ただ、戦国時代といえば食うか食われるかの時代だな。
・・・ということは、食い物あるのか?
いやいや、ここで食い物あるかを聞いたら、「お前が食いもんだ!」って言われそうだな・・・
ということで
すたこらさっさと逃げ出すオイラ。
『こら~待て~!』と言ってくる、目をランランと輝かせたオッサン。
待て~というのは、どの世界でも共通なのかね?
「待てと言われて待つ人間はいないわ~おとといきやがれ~」
と、一度言って見たかった「おとといきやがれ~」を叫びながら逃げるオイラ。「おとといきやがれ~」の、用途はあっているかは知らん。
オッサンは甲冑を着ているが、オイラは未来の軽く、それでいて快適な衣装。
(デザインは置いといて・・・)
走って逃げていると、みるみると差が離れていき、森の中へ逃げ込んだ。
ここまでくれば安心かな・・・
そう思って、汗を拭きながら木によりかかっていると、何やら水滴のようなものが落ちてきたので、ふっと上を見てみた。
何か目を真っ赤にした、オイラよりデッカイ猿がいる!
なんか涎を垂らしている。
日光〇軍団みたいに友好的なお猿さん・・・ではなさそう。
食われる。。。そう本能で察知したオイラは
「美味しくないです~!!」と叫びながら、また走り出した。
前世では複数の「職」をしていたので、体力はそこそこあると思うんだが、いかんせん年齢が・・・なんて思いながら走っていたが、なんだか体力がある。
異世界でなんかしてくれたのかな?
走っていくと、崖のようなところが見えてきた。
よくあるサスペンス劇場でありがちな、終盤に出てくる感じの崖だ。
ここを飛び降りればデッカイ猿から逃げれそう!
え?飛び降りたら死んじゃうって?
ちっちっち
オイラは変身玉っていう隠し玉があるのさ!
ということで、飛び降りるとき少し怖かったが、頭に変身玉を載せ例のポーズをとりながら飛び降りた。
「とぅ!」
変身成功!
これで安心だ。
・・・そう思ったこともありました。。。
「なんで猿が飛んでるの~!」
鳩に変身したオイラは、愚痴る。
鳩と、飛んでいるデッカイ猿だと、どう見ても鳩の方が負けるでしょ!
平和の象徴を何だと思っている~!
しかもデッカイ猿が飛びながら追いかけてくるだけならまだしも、デッカイ猿は魔法が使えるようで、火の球がどんどん飛んでくる!
「たしかに異世界っていたら魔法だけど、こっちの世界の魔法の初体験が、猿がオイラを魔法を狙い撃ちするってどういうことよ~!
ってか、猿が空飛ぶって反則でしょ~!
猿が、焼き鳥好きなんて聞いたこと無い~!」
愚痴りながらぴゅんぴゅん飛んでくる火の球をよけたら、急に目の前に木が現れた。
え?そこ、数秒前には木なかったよね?
案の定、木に激突して、そのまま落下するオイラ。
そして飛んでくる火の球。
~fin~
オイラの頭の中でエンドロールが流れ出した。
「かづちゃんともう一回会いたかったな~、いや今は、リカさんか。
というか鳩のまんま死んだら、鳩として次の世界に行くのか?
死んだら、あの神様にも文句言ったる。」
なんて思っていると、オイラの後ろから声がした。
『しょうがないわね~』
そう聞こえると、オイラの後ろから、でっかい火の球が飛んでいき、猿の飛ばした火の玉を飲み込み、さらにデッカイ猿目掛けて飛んでいき、見事的中。
デッカイ猿は丸焦げになった。猿の丸焼きだ。
ただ、オイラを火の玉がかすめて行ったので、オイラの羽も何だか煙ったい。
あっちっちあっち、燃えているんだろうか、何だか焦げ臭い羽をパタパタふ~ふ~しながら
「ありが・・・」
お礼を言おうと振り向くけど誰もいない。
でも、どっかで聞いた声だった気が・・・
「レイコ~さん、憑いてきたんですか?」
『そうよ~危なかったわね~。何か面白そうだから、憑いてきちゃった。てへ!』
「憑いてきちゃったって。。。まあ、おかげで助かりましたけど」
『そうよ~みやび君は助けてもらったんだから、もっと感謝してもいいのよ~。
あの鳥への変身のポーズ?っていうの?あれもなかなかかっこよかったよ!』
いや~それ(変身ポーズ)は、言わないで~。
アレ、オイラが考えたんじゃないんです。
ほんとなんです。変な神様が考えただけなんです!
なんて言えるはずもなく
「ははははは・・・」
から笑いするしかなかった・・・
『あと、色々と追いかけられて面白かったわね~。』
ホントそれ!前世での悪い運がここに来て蘇ってきたようで・・・
「笑い事じゃないっすよ~。ホント大変だったんですから~。」
『ここは数千年前の昔の世界っていう感じね。
これだけ死者がいると久々に幽霊の量産型0タイプが沢山できるわね~(笑)
こういう状況は、なんだか懐かしいわ~』
幽霊ジョーク?が出ましたが、数千年って、あと、先ほど、テヘっておっしゃってましたけど、お年は・・・
というか幽霊は、幽霊歴?
『みやび君、顔に出ているわよ~。女性に年齢を聞くことはダメなことなのよ?』
「あ、はい、すみません。」
どうやら、オイラが鳩になっても表情わかるらしい。オイラは鳩の顔なんて全て同じに見える。さすがベテラン幽霊。
喋っていると、ガサガサと何やらいる気配が
後ろを振り向くと、さっきぶつかった木がくるりとこちらを向いた。
「え?」
オイラが素っ頓狂な声をあげると、木のくぼみから火の玉が出てきた。
「ふぁ!?」
一目散に逃げだすオイラ。
何故木から・・・ってか木と火ってどう見ても相性悪いでしょ~。
でもそういえば、異世界転生ものにそんなのいたな~木の魔獣ってトレントだっけ?
っていうか木も、焼き鳥好きとか、ありえ~ん!
「レイコ~さん、何とかして~!焼き鳥になりたくな~い!」
『何とかして~って言っても、この子は、精霊系だから、あんまり攻撃とかしたくないのよね~。さっきの猿みたいにブサイクだったら気兼ねなく打てるんだけど~』
なるほど、レイコ~さんは、イケメンしか勝たんと。。。って、この非常事態、そんなことはどうでもよく
「イケメンでも精霊でも何でもいいから何とかして~!こんど焼き鳥奢るから~」
鳥が焼き鳥を奢るとは、これいかに・・・もはや、わけがわからなくなっている。
『わかったわよ~。しょうがないわね~』
そういうと、オイラの目の前から火の球が飛び出てきて、後方に飛んでいき、あっさりと木は消滅した。
目の前から急に火の球が飛んできた関係で、また羽が燻ってきたオイラ・・・
次何かきたら、魔獣じゃなくレイコ~さんに本格的に焼き鳥にされそうだな~。
そしてまた、あっちっちあっち、燃えているんだろうか、そんな焦げた匂いのする羽をパタパタふ~ふ~しながら
「レイコ~さん、たびたび、ありがとうございます。」
『そんなこといいわよ。なんか久々に身体を動かしている感じだわ~。』
レイコ~さんは、なんか身体をボキボキならしている・・・気がする。
幽霊に筋肉ってあるのか?
『しかしここら辺、なんだか焦げ臭いわね~。木を燃やしちゃったかしら?』
オイラの羽が、あっちっちしているからだと思います・・・
『そういえば、みやび君。』
「はい?」
『焼き鳥って何?』