【第二章】~禁止エリア編~ ④突入~カブトムシと、ぶと~~
その後も、リカさんとライブの話していると、夜になった。
地球なら、この後「お食事でも~」とか、「飲み行きません?」ってお誘いすることも出来るんだろうけど、ここは食文化もアルコールもない世界。
『あ、もうこんな時間』、と言うと、リカさんは、あっさりと帰っていってしまった。
オイラも笑顔で、またね~っと、サヨナラの挨拶をする。
また、明日にでも会えるんだろうけど、少しばかり寂しい。
ただ、リカさんとは、いつものタンコブ作成コースから徐々に仲良くなってきている感じはする。
これは、今後に繋がるかもしれない。。。気がする。
まあ、リカさんとの結婚とか考えると、魔法も技術もないので、なんも生み出すことができないけど、どうにかして、ポイント持ちにならないといけない。
じゃないと、リカさんにとって、ただの旧石器時代人。
それじゃ、結婚どころか付き合うことも出来ないよ。
ただ、オイラは異世界人ってことで簡単に出会ってみたいなことができたけど、この世界の出会いとか結婚って、少しハードルが高い気もする。
オイラの知らない、この世界なりの常識があって、それでうまくいっているのかもしれないけど。
そうして考えていると、少し小腹がすいてくる。
そう思ったら、喉から胃に何か落ちて行った。
慣れないな~。
とりあえずリカさんのことは置いといて、食料について何とか確保していかないと。
人間、食欲って大事なんだな~って改めて実感中。
食欲が満たされて、次に衣住異性に興味が向かっていく感じなんだろうな~。
食料が体内に入ったためか、眠くなってきた。
少し仮眠をとることにした。
~~~丑三つ時~~~
草木も眠る丑三つ時。むくっと目が醒めるオイラ。
仮眠から目が醒めると、最近お気に入りの五右衛門風呂に入る。
昨日と同じ感じだな~。生活習慣的に早寝早起きになってきたかな~。
というか丑三つ時に目が醒めるって、お爺ちゃんと同じじゃん。
この世界は病気にならないとはいえ、しっかりした生活習慣付けないとな。
でも、病気も事故もないこの世界って、どうやって死ぬんだろ?
老衰かな?
なんてことを考えながら、五右衛門風呂から出て着替えをして、禁止エリアに再度行く準備を行う。
といっても変身玉をポケットに入れるだけだけど。
レイコーさんと話していた内容からすると、たぶん、禁止エリアの中ってたぶんアレがあるんだよな~。
なんで、この国はアレを守るために射殺とか物騒なことをしているかも気になるし、たぶんよっぽど大事なものがあるんだろうな~。
っていうか、国宝とかにして別に保存すればバレないのにな~。
とか色々疑問がわいてくるが、虎穴に入らずんば虎子を得ずってことで入ってみたらわかるだろ。
禁止エリアに再度突入してみることにした。
再度、禁止エリアの入り口に来たオイラは、奥の方に入ってみると、あいかわらずカブトムシさんたちがたむろしていた。
今度は、カブトムシさんたちが何となく起きている感じがしたので
「こんにちは~。」
挨拶してみると
『こんにちはぶと~。』
挨拶を返してくれた。少し嬉しい。
というかカブトムシは最後は~ぶとっていうのか。
安直な・・・
せっかくだしということで、カブトムシさんたちに疑問をぶつけてみることにした。
「カブトムシさんたちは、何でここにいるんですか?」
『ここは、家ぶと~』
あ、ここ住み家なんだ。夜行性だし、薄暗いし、天敵もいなそうだし、ちょうどいいんだろうな。
「ここには、エサとかあるんですか?」
『エサは、外に出ると貰えるぶと~』
虫にも食料が送られてくるんだ。この世界は徹底しているな。
っていうか、この中には、エサって送られないんだ。
なんでだろ?
「ほかに虫さんっているんですか?」
『他にもいるぶと~』
カブトムシさんはバッと足を上げたので、その方向を見てみるとクワガタがいた。
やっぱりカブトムシには、クワガタだよね。
見回してみると、クワガタの他にも蛾もいたり天井にはコウモリがぶら下がって鼻からチョウチンを飛ばして寝ていたり、色々な虫やら動物がいた。
コウモリって、虫たべなかったっけ?
「コウモリさんって、大丈夫なんですか?」
『大丈夫ぶと~なんでぶと?』
「いや~食べられたりとか?」
『変なこと聞くぶと~コウモリとは、友達だから食べられないぶと~。』
ああ、この世界は、おなかに食料が自動的に入って来るから、コウモリは虫を食べないのか。
ってことは、この世界は、虫とか動物でも友達って言う感じで、食うか食われるかじゃない感じなのかな?
一通り話すとカブトムシに「バイバイぶと~」と挨拶して早々に立ち去ろうした。
そうすると『バイブト~』と返事が。
そっちか~。
それから色々歩き回っていると、コウモリがチョウチン飛ばして寝ているくらいで、誰もいないスペースがあったので、ここで変身することにした。
「とぅ!」
変身したオイラは、さっそく昔の道具がある展示場に行くことにした。
展示場につくと、さっそくレイコ~さんに聞いた場所へ移動する。
展示場はふわふわ浮いている感じでどこにも境界線などは無い感じであったけど、壁があるような感じの場所に身体をぶつけてみた。
そうすると通り抜けることに成功。
心配していたんだが変身玉も何故だか通り抜けたみたい。
さすが異世界。
そして、通り抜けた先は、洞窟のようになっており、ひんやりしている。
中には、誰もいない。
『あら、みやび君じゃない。なんか姿変わった?』
急に声をかけられてビクっとした。
けど、声色的に昨日話していた人と?すぐにわかったので
「あ~レイコ~さんですか?急に話しかけられてびっくりしちゃいましたよ~。今日は、こちらに来ていたんですね。」
『そうよ~昨日ここの話しをしたから、なんか来たくなっちゃって・・・
って、あなた幽霊だったの?』
「いや~オイラも昨日、レイコ~さんと話していて、禁止エリアの中に来たくなっちゃって~。この姿は、私たちの世界の魔法みたいなもんです。」
レイコ~さんには、異世界から来たと話してあったので、その設定にあわせて誤魔化してみる。
『あら~みやび君のいる世界って、そんなことが出来るのね~。っていうか、それ便利ね~。私にもできるかしら?』
「どうでしょうね~ははははは・・・」
笑ってごまかしてみる。
そして見回してみると、特に変わったところは無い。
「そういえば、昨日話していた「変わった模様」が書いてある岩ってどこら辺にあるんですか?」
『あ~ここを通り抜けるとあるわよ。』
レイコ~さんは、奥にある少し黒くなっている壁を指して言った。
この部屋に入っただけたと、ただの壁だから普通わからないよな~。
レイコ~さんもよく見つけたな。
レイコ~さんに、変わった模様の岩を少し見てきます~と断って、早速、その壁を通り抜けてみた。
壁の中に入ると、小さな空間になっており、奥の方に、お目当ての岩があった。
よく見る異世界転生もので見た感じの模様が描いてある。
いわゆる魔法陣だ。
個人的には、お~異世界っていったら、こういうのだよな~!って、テンションが上がって来る。
幽霊さんたちは、魔法陣を見ることは出来るけど、触れることはできない。
一般的に魔法陣などは触れたら何らかの作用が働く感じだろうから、触れることの出来ない幽霊さんたちは、魔法陣を使うことは出来ない。
ついでに、幽霊さんたちは異世界転生ものの知識が恐らくないので、これなんだろうね~みたいな感じで、そのまま放置されてきたんだろうな~。
レイコ~さんがこの部屋にいるかわからないが、断ったんで、たぶん大丈夫だろう。
ってことで、早速姿を幽霊から普通の人間に戻った。
この魔法陣に触れると、どうなるんだろ?
神のみぞ知るっていう感じだな~。
神様は、これ知っていたのかな?
少し深呼吸をすると、覚悟を決めて、その魔法陣に乗ってみた。