【第一章】~未来異世界転移編~ ⑧異世界ドリームと、現実の異世界
「とりあえず、このイスに座るとゆらゆら揺れてリラックスできますし、机については、何かものを書くときとか、食べものを・・・って、食べ物は無いですけど、まあ、いろんな時に使えるんです。良かったら座ってみます?」
リカさんは、へ~っていいながら座った。
リカさんは、しばらく揺られていると
「これだけ?」
不思議そうに聞いてきた。
「これだけです。いいでしょ?」
『そうね~、まあ、旧石器時代だしな~・・・』
リカさんは何か言いたそうだが、何となく抑えている感じがする。
『まあ、明日以降いろんな場所にいくから、その時に、この世界の家具とか見ていきましょう。』
「了解です。お願いします。」
『あと、国王との面談も近いうちにあると思うから、その時に要望とかあったら言ってみてね。
明日また来るから、その時にわからない点とかあったら言ってね~。』
「え、こくお・・・」
リカさんは「ひゅん」と消えてしまった。
あ~あ、もう少し喋りたかったな~。
じゃなくて・・・「国王」っていったよね。
「国王」って言ったよね。大事なことなので2度考えました。
この世界の王様に会うのか~。そりゃそうか。異世界転生の定番だもんな~。
でも、モブキャラって、だいたいそこで、お前は用なしとか言われて追放されたりするんだよな~。
そこから貰った、お金やら神様から与えられた能力やら異世界の知識を元に強くなって無双したり、スローライフを送っていくのは、異世界転生ものの定番。
また、すぐ死ぬようなダンジョンとかに飛ばされて、何かスキルとか得て、そこから無双していくものも定番。
定吉さんは、異世界の知識を元に転生する異世界無双の方面だったみたいだけど。
でも、定吉さんを始め、色んな異世界人の方々の活躍で、多少は異世界人の立場も上がっているだろうから、そんなに無碍にされることはないかな。
もっとも、この世界は、科学や魔法などみんな全部そろっていてみんなが無双している感じだし、能力あっても魔物・モンスターはいないみたいだから無双できないし。
そもそも論で能力も与えられていない。。。
全てがあるから、お金を稼ぐっていうことも出来なさそう。
というか、お金じたいが無い世界。
また、この異世界は、欲しい物は何でも、すぐに手に入って、みんな働いているとはいえ、各々でスローライフを送っている感じがするから、この異世界で俺だけスローライフしているぜ~無双しているぜ~みたいなこともできなそう。
これは、詰んだか?
いや、でもスローライフ無双はできなくてもスローライフは、送れるのか。
そして、少し時間がたち、現実的なことを改めて確認してみる。
衣食住については、問題ない。
食べ物についても、なんか違う感じがするけど、慣れるって言うし生活については、多分困んないだろう。
でも、賞賛とか感謝が重要視される社会か~。
オイラは、何の特技もないし、科学の知識もないし、魔法も使えないときたもんだ。
どうしようかな?
現実的に考えられるのは、異世界にまで来たけど、食料とか道具を作っている工場勤務とかかな?
ん~せっかく異世界に来たけど、工場勤務って日本と同じような・・・
異世界無双よ、どこ行った・・・
これが異世界ドリームと、リアル異世界の違いか~。
あと異世界ドリームで残っているのは、ハーレムルートか。
リカさんは可愛いけど尻にひかれそうだし、鉄拳とんできそうだし、そもそも未来人が旧石器時代の人間を好きになることなんてないよな~。
いやタコさんでも、嫁さんできたっていうし、でもタコさんは、立場的に偉かったんだよな~・・・
オイラの場合だとハーレムルートどころか、結婚じたいできるのか?という切実な問題になってきた。
仮に結婚出来たとして、子供って種族違うと出来るのかな?
リカさんは種族が違うし、同じ種族は、たぶん定吉さんの子孫くらいしかいなそうだし、、、いや、定吉さんに子孫がいたら、異なる種族でも子供は作れるのか?
まあ、色々疑問も出てきたけど、流れに従うしかないか。。。
少し遠くを見ながら、今日のことを思い返してみた。
死んだり、転移したり、神様にあったり、リカさんとあったり、ラジオ体操見たり、飛んだり、衝突しそうになったり。
なんか疲れたな~、明日になったら知識が入って、なんか変わるかもしれないし、うだうだ考えても、考えれば考えるほどマイナスになるだけだ。
風呂に入ってさっさと寝よ。ということになった。
そういや風呂は、ないんだったっけ。
リカさんは、箱にお湯を入れればいいといっていたっけ?
まずは、身体をキレイにしてと考えると、なんか身体がスッキリする。
これは便利。汗をかいても、すぐにでもスッキリ出来る。
さっき汗をかいたときに、やっとけば良かったな。
次は、問題のお風呂。
箱にお湯を入れると、たしかにお風呂になるけど・・・
ためしに、風呂ほしいと思ってみるか・・・
そう思うと、隣の部屋にドン!と大きな音がした。
あせてて隣の部屋に入ってみると、そこにはお風呂があった。
この世界にも、お風呂はあるんだ。。じゃなくて、お風呂が
・・・五右衛門風呂・・・
なぜ未来の世界に五右衛門風呂と頭の中が???
そういやイメージした形に勝手に変わるとか言っていたっけ。
いや、それは道具についてか・・・
ん?五右衛門風呂は道具か?
など、いろいろ頭に???があったが
よく見てみると、五右衛門風呂の下には、しっかり薪の準備もされている。
部屋の中で火つけろってこと?え?いいの?火事にならない?
煙どうするの?一酸化酸素中毒とかならんの?未来だから大丈夫なの?
など、さらに色んな???が頭の中をぐるぐる回ったが、薪の横にご丁寧に着火装置みたいなものもあった。
魔法が使えない人向けかな。
とりあえず、火をつけろということだろうと思い、薪に火をつけてみた。
現実世界でも五右衛門風呂の経験は無かったが、未来の異世界にきて五右衛門風呂初体験である。
どういう理屈かしらんが薪から煙も出なくて、息苦しくもなく、しっかり五右衛門風呂は、温まっている様子。
さすが未来だな~なんて思いながら、とりあえず身体は、キレイになっているからお湯もかけないで、五右衛門風呂の表面に浮かんでいる板に足をのせてみる。
ジャプンとはいってみた。思わず「ふあ~」と声を出す。
今日一番の幸せだ~。
そこから五右衛門風呂に何も考えずに小一時間入る。
少しのぼせてきたので、五右衛門風呂から出ようとすると、大事なことに気づいた。
バスマットも無いし、バスタオルもないやん!
いやでも、衣服が簡単に送って来るくらいだから、そこら辺を想像したら勝手に送って来るか。
ただ、さっさとバスタオルを送ってもらい速く拭かないと風邪をひいてしまう。
ということでバスタオル・・・と思ったけど、そういやここ未来だっけ?
と思い出し、「乾かして」と、試しに考えてみる。
速乾でした・・・
身体どころか、部屋の濡れたところも既に乾いている様子で、五右衛門風呂のお湯も無くなっていた。
お~スゲ~なんて思っていると、目の前にあった五右衛門風呂は「ヒュン」と消えた。
そういや道具って使ったら勝手に戻っていくんだっけ?
五右衛門風呂は、道具だったのか・・・
五右衛門風呂に入る種族ってどんな人なんだろ?
日本人かな?便利なもんだな~。
そして、いくら適温な環境でも服を着ないと風邪をひいてしまうってことで、パジャマに着替えた。
パジャマは、地球では少し前に売り出して買えなかったけどジェ〇・〇ケのカピ〇ンのパジャマをイメージしてみたら、送ってきた。
これ着たかったんだよね~。
ついでに、カピ〇ンのぬいぐるみも、送ってもらう。
せっかくの未来異世界だし、こういうのを活用しないと。
そういやパジャマも地球デザインだし、結局、この世界の衣服のデザインについて何もわからんかったな~。
なんて思いながら、カピ〇ンは、イスに腰かけた。
リカさんには、妙に感心・・・というか唖然とされていた感があったけど、現代地球人は、こういうイスの方が落ち着くのだ。
タバコは吸えないし、吸ったことないけど、葉巻なんて吸いながら、ゆらゆらしたりしながら外を眺めたり、地球風スローライフを送るには最適だぞ?
そういや葉巻ってあるのかな?
いや、アルコールがダメだったし、タバコ関係も、なんか規制されてそうだし、来て早々異世界の犯罪者になるのもな~ってことで葉巻はやめといた・・・
そうしてイスに揺られながら窓から外を眺めてみると、暗くなっている。
異世界も夜があるんだね~なんて思いながら、あ、これは作られた景色か、と気づいた。
実際どうなっているんだろう?
疑問に思い外に出てみたら、普通に暗くなっていた。
何なら、月もある・・・え~と・・・ひいふうみい・・・19個ある。
さすが異世界・・・月も多いらしい。
その割にはしっかり暗いから、なんか光を調整しているんだろうな~。
そして、月(19個)にかかっているような雲は・・・ない。
というか雲がない。この世界には、雲はないのかな?
天気とか勝手に調整できそうだし、雨とか雲は、必要ないのかもな。
そんなこんなで、時間も遅くなってきた・・・って時計ないな。
試しに時計と考えてみる。
そう考えたら、頭の中に時間が浮かんできました。
≪21時41分≫
なんか、どっかでよく見る時間だな・・・
たしか、アメリカとか海外だと、時計が24時間表示だと読めない人もいるって言うから、この世界の時間表示は、日本仕様なんだな~。