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最終話 聖女は人生の全てを課金したい

ご愛読ありがとうございました。

「おやおや、目が覚めたかいお嬢ちゃん」

「お……ばば様」

ジュエルは部屋で目を覚ました。

目覚めた先には魔女とマロンがいた。

「ウォン、ウォン」

「えっ! 嘘でしょう! ホクト! あなたまだ生きてたの」

「キャイ~ン」

ホクトが尻尾をブンブン振りながら、ジュエルの顔を優しく舐めて再会を喜ぶ。


三人と一匹は話をした。

もう夜も深い時間であったが話が尽きることはなかった。

魔女は相変わらず、隠れ家で世捨て人としてひっそりと生活をして気紛れで世界を旅して回っているようだ。

ここ数年で台頭してきたリトナー魔法国はどうやら、魔女も一枚絡んでいるらしい。


マロンは、あれから母を看取ってから子宝にも恵まれ皆が成人してからは、ウェンリーゼに移り住んだらしい。

マロンはそれからウェンリーゼ家にメイドとしてフラワーに仕えたようだ。

フラワーはマロンに「ジュエル様のところのような待遇は約束出来ないわ」といった。

マロンは「既にとある高貴なる身の上の方から課金されております」とほぼ無給でフラワーに仕えたようだ。

とある高貴なる身の上の方が誰なのかは口にするのは無粋であろう。


今回のサプライズは、たまたまデニッシュが慰問に訪れた際にエミリアを見つけたことから始まったようだ。


「ありがとう。お姉ちゃん」

ジュエルがマロンにいった。


「いつから気付いていたのですか」

マロンが目を丸くした。


「そのメイド服、魔力登録してないのよ。それなのに、長時間装備可能なのは私と魔力波形が良く似た血縁だけよ」

ジュエルは少女の時から気付いていたのだ。

マロンが腹違いの()であることを……


「ホッホッ、マロンや! お嬢ちゃんに一杯食わされたね」

魔女が酒をラッパ飲みしながらいう。


ちなみにエミリアの頭の髪飾りは、ミクスメーレン共和国でも再現不可能と言われたジュエルが最後に求めていた青い花である。

マロンいわく、ウェンリーゼの花屋でアルパインという青年が再現したとのことだった。

ただし、青い花はウェンリーゼの土でしか咲くことが出来ないため、王都までは鉢植えで運んできた。

財政難のウェンリーゼ家からは、身につける宝石がないための苦肉の策であったがジュエルの夢を叶える結果となった。


後にジュエルは強権を発動してアルパインを貴族にした。会場でジュエルの殺気に当てられた貴族達は、強権をスルーした。アルパインはそのまま海軍に入隊した。ジュエルのお節介が、後の海王神祭典でどのような影響を及ぼしたかは別のお話である。


ジュエルとマロンも魔女からの杯を受けた。


三人にとっては本当に楽しい夜であった。


夜が明けた。


ジュエルはきっと酔っ払っていたのだろう。

朝日に向かって笛を吹いた。


「クルルルゥゥ」

フェリーチェが当たり前のようにやって来た。

ジュエルはノリで呼んだのだが、本当に来てくれるとは思わなかったのだ。

ジュエルは泣いた。

「クルクルクルルル」

フェリーチェもとても嬉しそうだ。


「ホウホウ」

何処からか梟(不苦労)もやって来た。


「ハッハッハ、みんな揃ったね! どうするんだい聖女様」

魔女がニヤニヤという。


「決まっていますわ! エミリアちゃんに最高の七色のドレスを課金しますわ」

ジュエルが高らかに宣言した。

「ハッハッハ、もう治らない病気だね」

「違いますわ、魔女様! ジュエル様の天命でございます」

「ウォン、ウォン」

「ホウホウ」

「クルルゥゥ」


皆がフェリーチェに乗った。

「待っていて下さいませ! 私の女神様ー! 」


どうやら、ジュエルは人生を賭けて、推しに課金するようだ。


マロンが生き生きしたジュエル(推し)の横顔をいつまでも見ていた。



尊いは正義~聖女、年上男爵令嬢に恋して情緒バグってます 完


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