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15 聖女の推し

卒業パーティー


「それでは、卒業生達の入場であります」

会場には、例年にないほど人で溢れており、また招待客の質も高い。


「聖女はいたか」

「今日は必ず来るのではなかったのか」

「何としても、祖国に転移門を持ち帰らなければ」

「青い飾り羽がないと、また隣領の子爵にマウント取られてたまるか! 」


招待客の想いはそれぞれだ。だが、皆、お目当ては卒業生ではなく、ジュエルであるが……


ザワザワザワザワザワザワ


下級生達はいまか、いまかと、会場で卒業生を待つ。


「それでは、卒業生達の入場です」

バァン

扉が開かれ、淑女たちが殿方にエスコートされながら入場する。

このグルドニア王国での、卒業パーティーは一風変わっており、婚約者のいるものは卒業生同士出なくてもペアが可能である。


「キャー、キャー! 」

「ああぁ、まさかの麗しのストロベリー様とピーチ様よ! 」

「学園のマドンナの御二人がペアだなんて! 」

「私もう! 死んでもいいわぁ」

「生きててよかったぁ」

「ちょっと! 本当に倒れないでって! えぇぇ! 本当に死んで! ……気絶してるだけか」


また、婚約していないものであれば女子同士と一部の熱狂的なファンからは鼻血モノの展開が稀に見られる。

学園のマドンナ達は可愛い下級生のためにちょっとしたイタズラであり、そういったお茶目なサービスをすることもあった。


一番悲惨なのが婚約者がおらず、卒業生のペアも組めず、まさかの保護者との入場を飾ることだ。


保護者のエスコートが当主であれば娘を隣に涙ながらで、他家の当主からも羨ましがられる。令嬢からしたら、ウザイだろうが……


悲惨なのは、男性でペアが組めなかった場合である。最悪、百歩譲って妹ならばまだ許せるだろう。しかし、母親との卒業パーティーにレッドカーペットはまさに、罰ゲームであろう。


そんな中でも今年のトリを飾るのは……


「続きまして、フラワー・ウェンリーゼ様とエスコートには婚約者であるキーリライトニング・オリア様です」


カッカッカッカ


ビクッ!


その足音を聞いた瞬間に会場の空気が変わった。

それはまるで王が現れるような静けさであり、皆が扉に注目した。


また、会場にいる戦闘を生業とする者や、護衛騎士は一瞬で寒気を感じた。


いる。


間違いなくいる。


【プレッシャー】こそ感じないが強者達の肌をひりつかせる存在がいる。


扉がからまず出てきたのはエスコート役のキーリであった。


「ほう? 」

「これは……」

「噂以上だな」


キーリライトニング・オリア

大陸一の天才剣士と名高いグルドニア王国の剣帝である。


来客の中には噂は聞いていたが、キーリを実際に目にするのは初めてのモノもいてた。

大陸一の剣士等、誇張した噂と思っていたがキーリを見るや否やその認識を改めた。


「親父殿、年甲斐もなく気がでているぞ」

ガージャが獲物を見つけたような獰猛な笑みを浮かべたモスをなだめる。


「ああ、スマンな。こんなやつがいるなら……くそっ! 引退するのは早かったか……」

前獣王モスが何やら血が滾っている。

一応たが、建前は休戦条約の大使である。


キーリがその視線を楽しみながら、にこやかに微笑む。

その表情はまるで、「皆様、私など、前座に過ぎませんよ」とでもいうように不敵な笑みであった。


「足元に気を付けて、我が月と太陽」

キーリが手を差し出し先には……


扉からは、『聖女のドレス』を着用したフラワーがいた。


「「「「なっ! 」」」」


会場の使者達は驚愕する。

『聖女のドレス』をさらに専用装備として魔力登録したことで、フラワーからの魔力にフェリーチェの羽を素材としたドレスの神々しさが共鳴して、一目で心を奪われる。


また、戦慄する。


それは恐怖とは違った格の違いである。


その存在はまさに地上にいていい存在ではない。


まさしくそれは月の女神そのものであった。



「はぁー、嘘」

「きっ……綺麗」

「……私生きてて良かった」

「女神様って……本当にいたんだね」


学園の卒業生や下級生はホの字である。


「おお……聖女様がおっしゃったことは本当だったのだ」

「ああぁ、フラワー・ウェンリーゼ様のお心のままに」

「女神様が、聖女様を我々に……なんと尊い」

ジュエルにしっかりと餌付けされていたミクスメーレン共和国の一団は周りを気にせずに、泣きながら跪拝した。


まるで、二人はおとぎ話の絵本から出てきたファンタジーそのものであった。


東の海、ウェンリーゼ

建国王アートレイ・グルドニアの妃であったエミリアの出身地とされている。


「皆様、ごきげんよう。フラワー・ウェンリーゼと申します」


世界が東の姫巫女、聖女の推しを知った瞬間であった。


終わらせたいけどなかなか進まないです。

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