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社長の判断
「 ―― とにかくこれは、《社長》に確認しないといかんな」
おれたちだけで判断するのは危険だ、とロジーにジャックのメッセージをかしてくれ、と手をだした。
この新聞社に出資しているのは、ただ一人で、その『社長』という人が、局長のドドルをみこんで、新聞社をやらせているのだと、まえにオジルにきいていた。
「 ―― その人が、ダメだって言ったら、このネタはだせないってことですか?」
上着に手をとおしている局長に、ロジーは文句をつけるようにきく。
帽子をてにとったドドルは、にやりとわらった。
「 いや、ただこのメッセージをあの人にもみせてやりたいってのがほんとのところだ。 決してダメとはいわないさ。 ミスター・ラムジイなら」
この局長の断言通り、あれからまた、ロジーがジャックについて書きたした記事もふくめて、原稿はそのまま印刷され、新聞はあっという間に売り切れた。




