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※※ ― カボチャの中身 ―
口調がかわった《ジャック》が、カボチャ頭をじぶんでひっこぬく。
「 さあ、おのぞみどおり、『面白い』ことをしてやる。 ―― ウイザナ、主人の命令だ。 この女がこの《城》からでられないようにしてやれ」
青みがかった白髪頭で、眼の下に隈のある、顔色のわるい少年が、ぬいだカボチャをたたき、心底たのしそうな、いやな笑いをうかべる。
「どうした?さっきまでのおしゃべりはどうした? 成長したおれにみとれてるのか? いや、そうか、よく考えりゃ、『はじめまして』、だもんなあ。 もったいねえが、自己紹介してやろう。 ―― おそれおおくも、おれが、あの、 最後の《キラ種族》 ホーリーさまだ 」
ぎゃはははとみみざわりな笑い声がひびくなか、鼻をならしたウイザナのたてがみがぞろりと立ち上がり、眼がゆっくりと、ひかりだしていた。
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