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※※ ― ここまで ―
ふうん、とジャックは《駒》を指先でもてあそぶ。
「 その、『ものずきなプレーヤーたち』っていうのも、いまじゃお年よりでほとんどいない?」
「ええ。 最高齢の方がおひとりまだいらっしゃって、そのかたが、おわりだといったら、この『世界』はなくなります。 もう、これいじょう予想外なことも、起こりそうではないですし」
「―― なんで?」
「え?」
「なんで、もうなにも起こらないってわかるんだい?」
「 だって、この『世界』はもう、あなたのおかげで『安定』をむかえてる」
「うん、そうだね。 ぼくはきっと、このゲームを『安定』させるための《駒》なんだろう。 それは気づいていたけど、まあ、 ―― ここまで、かな 」
そうです、このゲームはここでおわりです、と女がこたえ、ジャックは指先にあった《駒》を、ゲーム盤におき、ぼくの勝ち、とちいさくつぶやいた。
ジャックの横に、 ―― 四つ足の獣がいつのまにか座っていた。




