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※※ ― 保護 ―
うーん、とうなったジャックは、手にしていた駒を、盤の上にとばすように置いた。
「・・・つまり、―― きみは、実体はないんだろう? ほら、このゲームをみてるお年寄りたちみたいな」
「・・・・まあ、そうですね」
「きみは、このゲームがなくなったら、ぼくとホーリーといっしょに、またつぎの新しいゲームに、はいるのかい?」
「それはないでしょう。わたしの『役割』は、ここでおわりです」
「『役割』、ねえ・・・大昔も、そんなこと口にして、砂になった《種族》たちがいたなあ」
「ああ、きいたことがあります。 《クワット種族》ですね? でもその《駒》は、なんだかバグってて、だめだったって」
「『バグって』て?」
「ええ。 あなたたちのこのゲーム、なんだかはじめから、《バグ》っていう想定外の要素がはいってしまっているらしくて。 それもあって、予想外のことがおきやすい、《バカゲーム》ってよばれて、ものずきなプレーヤーたちに保護されて、生き残ったんです」




