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街でみる魔法使い
「 《魔法使い》!? だって、いまじゃ希少種族だ。 《魔法使い》もこの城に? あ・・・・もしかして、それ、ときどき街にくる、あの、ひときわ大きな《魔法使い》ですか?」
年季の入った真鍮のような色のたてがみをして、ときどきケープをかぶったこどもを背中にのせているのを、ロジーもみかけたことがある。
《魔法使い》は主従にうるさく、気にいらなければ、相手を消してしまうというはなしがある。
そのため、街でみかけても、誰も声をかけない。
その貫禄と気配に、みんなが道をあける。
「ああ、いまウィザナとネイブは買い物に行ってる。 ―― 彼らは、わたしとちがって、子どもが好きだし、こどもにしたわれているんだ。 ―― 泣かすような者には厳しい」
ロジーは背筋がぞっとした。
あのときのつむじ風は、魔法使いだったのだろうか?




