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思い出を発見
「 世界は整い、暮らしも、種族も、整った。 あの混沌は、なつかしい古きものになり、その『地図』も、いまでは役にたたない。 ボトヌゾーンはいまはないし、抜け道もなくなった。その『地図』も、『昔話』とおなじで、古き良き時代を思い出すための『資料』になってる」
シエルのかすれた声をききながら、ロジーは図書館からかりたこの世界の地図をひろげ、『資料』の地図をそこにかさねておいた。
大きな道、川、山や森、沼などは、いまだってそこにある。
「まあ、シエルたちには思い出でも、ぼくらにとったら、 ―― 《発見》かもしれないからね」
ゆっくりと動かしていった『資料』の地図と、ぴたりと一致する地形をそこに『発見』した。




