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紙の資料
ロジーが図書館にかよう前に通っていたのは、この、本とはよべない書類が積みあがった暗くせまい場所だった。
「きょうはどうしたんだい?」
つみあがった紙の間からかすれた声が問う。
「 ああ、シエル、調べたいことがるんだけど、たぶんここじゃないと資料がないと思うんだ。見せてもらえるかな?」
山積みの紙の間から、ゆっくりと、先がとがった白いものがでてきた。
「なにをみたいんだい?」
それが机をトントンとたたく。
「昔の地図なんだ。 《ボトヌゾーン》っていう地区のそばで、ジャックがむかしつかってた城があったんだっていうんだけど」
「『ボトヌゾーン』!? なんと、古き良き時代のひびき!」
めずらしくシエルが楽しそうな声をあげた。




