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※※ ― ぼくが望んだ ―
枡目状に仕切った陣地を奪い合うこのゲームも、むかしは《種族》どうしの縄張りをわりふるのにつかわれていたものだ。
それがいまや、時間つぶしや娯楽になっているんだものなあ、とジャックはカボチャの中で息をこぼす。
「 みんな、あのころは生き残るのにもっと必死で、毎日先のことが不安だったからね。 こんなに発展したら、そりゃ安心するよなあ・・・」
「でも、この発展をのぞんだのはあなたでしょう?」
ラムジイの問いに、ジャックははじけた笑い声をあげる。
「そうなんだよ。まったくそのとおりだ。 ―― ぼくが望んでのは、みなが等しく、どの《種族》も仲良く手を取りあえるような世界だった。 ・・・・そのとおりだ 」
深くうなずくように置かれた駒で、ラムジイの負けが決まった。
―― ※※ ――




