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長い話はおわり
「 じゃあ、息子さんは、あなたのこのすごい冒険談をきいて育ったんですね?うらやましいなあ」
「うむ、まあな、」
ごほごほと、とたんにディルは咳をこぼしはじめる。
「 あー、どうもすこし話し過ぎて疲れたな。 もうじゅうぶんだろう? ―― とにかく、わしのはなしは全部ほんとうの冒険談だ。 あのダンプヒルの城に行こうなんて考えたりしなくても、証拠なら、わしの家にじゅうぶんあるんだ」
楽しそうに部屋の棚をしめす。
そこで、はかったようにドアがノックされ、キーパ夫人が顔をだした。
「ながい話は終わったかしら?はりきりすぎて、喉がおかしくなったんじゃないの?」
車いすに座る年寄に近づくと、手にしたブランケットを膝にかけ、ハチミツいりのお茶でも飲みましょう、とロジーもみた。
「いや、ぼくはもう帰ります。こんなすごいはなし、すこし整理しないとならないんで」
なにも書かなかったノートをふり、キーパ夫人に意味ありげに微笑んで見せる。




