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とっておきのはなし
「・・・・そりゃ、―― すごいな」
「まあなあ。 なにしろ《キラ種族》は、わしの言うことをなんでもきくからな。 ディークはまだわしの命を狙っていたから油断ならない。そこで、ダンプヒルの城に閉じ込めて、出てくるな、と命じたんだ。 《キラ種族》はその恐ろしい呪いでもって、ディークと《主従》の関係をつくっていうことをきかせたから、それからずっとあの城にいるんだ。 ―― このはなしは、いまわしからはなしをきいたおまえさんいがい、だれもしらないはなしだ」
とっておきのはなしをきかせてやった、といわんばかりの顔に、ロジーはわざと眉をしかめてみせた。
「でも、・・・《スナー種族》もいるっていいましたよね? 彼女たちは確か、権力者とか、力のある者にしかつかないってきいてますけど。 それなら、その《キラ種族たちをとじこめた》あなたに《スナー種族》は、ついてくるんじゃないですか? なぜ、そのまま城に残ってるんです?」




