さぐる理由
「掃除もお願いした方がよくないですか?」
「使う場所は自分で掃除しているから問題ない。 ところで、きみがいままでかいた新聞記事をよませてもらった。他の二社にくらべるとひじょうに面白くて読みやすいし、なにより偏見や断定がないところがいい」
ドドルの方針には、わたしも賛成だ、とお茶の葉をポットにいれる。
離し方がどこか、役人をおもわせる。
偏見だが、顔つきや態度も、すきがないような気がする。
意外にも、カップにお茶をそそぐ手つきは、慣れている。
「 ―― だが、いままでのジャックについての記事も、天気のはなし並みに、だれでもわかる事実ばかりのせてたのに、ここにきて、どうしてジャックの《後継者》にかんする『うわさばなし』なんかを、さぐる記事を書こうとするんだい?」
「みんなが気にしてるから『噂』になるってことですし、それにあわせて、ジャックについてのことを、みんなもっと知るべきだとも思うんですよ。 ―― 《後継者》とジャックの関係をさぐれば、みんなもへんな噂をたてず、不安もなくなるだろうと思うんです」




