31/138
同じティーポット
家の中は整頓され、きれいなのに、うっすらとほこりにおおわれ、時間がとまった家のような印象だった。
居間のソファには白い布がかけられ、ふだんここをつかっている様子はない。
通り抜け、台所に招き入れられた。
なんだか、さっきまでいたディルの家の台所と雰囲気が似ている。
お茶の準備をはじめたエスルがだしたポットまでむこうと同じなのをみて納得した。
どうやらこちらにも、あの家政婦の女性がきているようだ。
「あの女性はただの家政婦さんですか?」
どういう意味かはかりかねるような目をむけた相手は、手にしたポットをみて気付いたようにわらう。
「 ―― ああ、キーパ夫人は、こことむこうを両方担当してくれてるんだ。こっちは台所仕事だけ。 ―― むこうは、全般をまかせてる」




