3/138
ここだ
こどものそばにいるのは、《法律》の順守をうながすためにつくられた『兵隊』という組織の中でも選ばれたものたちだ。
ノーム種族の者からディークの新種、小人族、魚人族など、さまざまな種族のものたちで構成されている。
その中心には、帽子もかぶらずコートも来ていない、ずぶぬれの子どもがいる。
その髪は真っ白で、兵隊が手にしたランプのあかりで銀色にひかる。
あのこどもは、いったい何種族だろう? 新種族か?または、―――
こどもは、自分をかこむ兵隊たちをみまわすと不敵にもわらい、細い指を立てて、その先を地面にむけた。
「ここだ」
いやに低い声の、その子どもの白い指がさしているのは、城の中庭にある木の根元だった。