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隣に住む息子
ロジーの言葉に女は手をふってわらった。
「 あたしの話きいてたでしょう? ディルはたしかに『超ご長寿』だけど、とんでもない話をするし、それはどう考えても嘘なのよ。 ―― あなたがそれを新聞になんかのせちゃったら、その『嘘のはなし』が、ほんとうみたいになってひろがっちゃうでしょ? ―― だから、悪いけど、ディルには会わせられないわ。 どうしてもっていうなら、まずはエスルに会って、許可をもらってきてちょうだい」
どうやらそのにこやかな雰囲気からは想像しなかった用心深さのある家政婦だ。
「 ―― じゃあ、そのエスルさんにはどこで会えますか?」
「この裏の家にいるわ」
ロジーの前にお茶のカップをおき、台所の奥の壁をさす。
隣に住むのに、仲がわるい?
「 まあ、行けばわかるわ。 ―― なんでふたりの仲がわるいのか、とかね」
こちらの考えをよみっとたように、イタズラっぽく微笑んだ。




