26/138
食料品といっしょに中へ
「こんにちは、シンプソンさん、食料品がとどいてますよ」
ドアのベルもみあたらなかったので、大声でさけんでみる。
中で人の気配がしたと思うと、ひらいたドアから《ノーム種族》のにこやかな女が顔をだした。
だがこの家の主の妻にしては若い。
娘だろうかと思いながら抱えた箱をしめす。
「あら、エスルかと思ったら、今日はちがう方が配達?」
「いや、配達員じゃないんです」
箱を抱えなおし、こちらのシンプソンさんに会いにきたんです、と説明すると、中に招かれる。
「ディル・シンプソンに会いにきたの?」
まあ物好きな、と驚きながら、先にはいった台所のテーブルに箱をおくようにしめす。
「 ―― エスルに会いに、じゃないわよね?」
「え?いや、配達員に会いにきたわけじゃないので」
これに、箱から食料品をだす女が声をあげてわらった。




