いまとむかし
申し訳ございません。むかしの世界については、『ホーリー むかしばなし』を 以下略。
ギュイイイイっと機械が抵抗するような音をだす。
ロジーは、かきかけのタイプライターから紙をひきぬいてよみかえし、ていねいに小さくひねりつぶしてから、ゴミ箱へなげた。
むこうでは、局長がオジルに版組みを指示している。
オジルは《ウルヴ種族》だが、その中でもまた新しいといわれている満月の夜にだけ昔のように粗野な性質になるという種類だ。
とがった耳も毛深さもかわらないが、爪だけはむかしのようにとがっておらず、昔と違っていまはグレーランド全体にちらばって暮らしている。
若いロジーにしてみれば、なぜ《種族》によって住む場所がかたよっていたのか、というほうが疑問だ。
オジルにきいたところでは、ウルヴはみな、独特のしゃべり方で、恥ずかしがりやだったのだということだ。
そばできいていた局長は、「役人がきめたからだ」と、唾をはくように言った。
「 昔はな、なんだって役人が勝手にきめて勝手に分けた。 それを、みんなで平等にしようって言いだしたのが、《王様ジャック》だ」
なので、彼が《王様》でいいのだと、鼻にかかった眼鏡をあげながら局長は言う。




