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なにもするな
「ホーリーが、成長する時期がきてるのかもしれない。 いいかげん、かけられた《呪い》に対してからだが慣れて、呪いの効果がうすまっているのか、または、 ―― そういう時期なのか」
「はあ?なに?ディーク種族も、なんかの時期がきて、いっせいに成長すんの?」
いや、と否定した男はじっとホーリーをながめてから苦笑した。
「ただ・・・そういう『時期』と、ジャックの『誕生祭』がかさなるというのが、めでたいのか、よくないことのまえぶれか、わからんな」
いわれてネイブもなんだか悪い予感につつまれる。
ティーカップをかかげたこどもがにやりとした。
「めでたいに決まってるだろ? おれもこのところ気分がいいからな。今回のジャックの『誕生祭り』ってやつを、祝ってやるか」
「いやいやいやいや、ダメダメダメダメ。たのむ。なにもしないでくれ」
自分が仕えることになったこのこどもの性格の悪さは十分承知しているネイブは、必死にとめた。
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