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頭にカボチャ
「いやいや、《主》がこのまえ訪れたときにはとっくにいたはずだ。あの城はこのごろ人であふれかえって、まるで毎日が祭りのようだ」
ウイザナは城に行ったことなどないはずなのに、みてきたようなことを言った。
「ああ、そっか、だってもうすぐジャックの誕生祭じゃないか」
麦がそだって実をむすび、ゆっくりと色をおとしてゆくこの時期、その祭りはやってくる。
みんながそわそわと、それぞれの家で育てたカボチャで、好みの《王様ジャック》の頭をつくるのだ。
王様ジャックはいつのころからか、頭にカボチャをのせている。




