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さしだす
《自称物知り》の《ほら吹きディル》が、また孫を鎖でつないで、どこかへ奉公させにゆこうとするのを、ロジーは見逃さなかった。
「ディルさん!こんどはネイブをどこに奉公させるんですか?」
この街のものなら、この光景は毎度のことだ。
だが、ディルの返事はいつもとちがった。
「いいかロジー、こんどは奉公ではなくてだな、王宮にさしだすのだ」
「王宮!?」
「さしだす?」
ロジーとネイブの声がかさなった。
「ちょっとディルさん、王宮っていったら、数か月じゃかえってこないでしょう?」
「どういうことだよ、じいちゃん?さしだすって言ったな?」
若者二人につめよられた年寄は、まあまあ、と後ろにさがり、そこにいた男に、ふいに、つかんでいた鎖をわたした。




