8話 誘拐
「何てことすんのよ…!
みんなを元に戻して…
私を帰してよ…」
バシバシと魔王を叩く。
魔王は全く気にせず私を担ぎ
歪んだ時空の中を進んでいく。
歪んだ時空は、色彩と形状が奇妙に変化していく。
風景や物体は歪み、ねじれ、
異様な形状に変わっていく光景が目の前に広がる。
同じような魔法陣から出ると周囲の風景は一変した。
魔王が私をゆっくり降ろした瞬間、
隙が生まれた。
思い切り魔王の頬をひっぱたいた。
「なんで、こんな酷いことをするの!?
みんなをもとに戻しなさいよ!」
叩いた感覚はあった。
初めて人を叩いたけど
叩いた私の骨の髄まで振動が響いた。
魔王はゆっくり私の方に戻り
「殺しちゃいねぇよ…
貴様がそうゆう態度をとるなら
今すぐにでも殺しにいってもいいんだけどな」
魔王のけた違いの迫力に
背筋が凍る。
脅しだけれど、
やろうと思えばすぐに出来る…
でも、逆に脅しという事は
殺していないという事も本当だろう
少しほっとした。
「自分より他人の身を案じる
これからお前は我に何をされるか分からないのに
やはり人とは興味深い」
落ち着くと少し周りが見えた。
私の部屋位の広さの空間
周囲は物品が乱雑に散らばっている様子が目に飛び込んでくる。
私には芸術が分からないが、それでも理解できない
アート?というべきか分からない物がそこら中に広がっていた。
部屋全体が混沌とした様相を呈している。
「私を攫って何をする気?」
「まぁ 待て 我も元の姿に」
魔王の仮面がゆっくりと取り外される。
整った輪郭を持ち
透明感のある肌。
瞳は深淵のような暗闇を秘めている。
その姿は品位に溢れ、
凛とした雰囲気を纏っている。
魔人の美的センスは分からないけれど
少なくとも人間基準で考えるなら
彼の周囲に乱雑に置かれているアートとは違い美しい。
「我が名は魔王バベル」
魔王は私に歩み寄ると
私の顔を掴み寄せる。
美しい顔で見つめられ
不覚にも少し照れてしまった。
「なっ…なんだ ガキではないか!」
「が、ガキじゃないわ!
今日で16なのよ!」
「……フーン」
バベルが嘗め回すように見てくる
「あ、あんたこそ
こんな汚い部屋に住んで
片付けも出来…」
「ガキだからココが発達していないんじゃないのか?」
バベルが私の胸を人差し指でつついてきた。
顔が真っ赤になる。
「女というものはそこが発達しているものなのだろう?
連れ帰ってくる者を間違えたか…?」
未だに胸をツンツンとつついてくる
「人間の姫は男でもなれるのか…!?
いきなり我を引っぱたいた凶暴さといい…」
「なななななんてことすんのよぉお!」
バベルを再び殴ろうとしたけれど
バベルは黒い魔力をなびかせ消えた。
「囚われだからって失礼にも程があるわ
私はちゃんと16才の女なのよ!」
「…まあ良い 気が強い女は嫌いではない」
魔王の姿は無いまま話している。
消えてたバベルがゆっくり姿を現しながら
私の顎をくいっと引き寄せ頬にキスをした。
「喜べ貴様は我の嫁になるのだ」
!?????
な、何を言っているんだこの魔王は!?
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筆者が泣いて喜びます。
⚫︎最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい 完結済
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他種族の接触が禁じられた世界
最恐のオーグンが他種族の女の子と仲良くなりたくて人間の王子と旅をする物語です。
お馬鹿で変態だけど純粋なオーグンの冒険を覗いてみてください。