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囚われ姫は暴君魔王に救われる  作者: あいだのも
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28話 選択


私たちは釣れた小魚を持って小屋に帰った。


魔法で火を起こし、

小魚を焼いた。


「はい、これイリシアスの分ね」

小さな魚の半身をイリシアスに渡す。


「僕は食べなくても大丈夫だからマリアさん食べなよ」


「二人で釣ったんだから二人で食べるのよ」


「そ、そうだね食べてみるよ!

うげぇー生臭い…

やっぱ僕には無理かも…」


「なによ、だらしないわね

残りは私が貰うからね

ぱくっ

う…美味しい!

こんな美味しい物バベルだったら…あ…」


「いいよ。お兄様に会いたい?

ずっと魔法で語りかけて来るから

僕から返せば飛んで来ると思うよ」

バベルが私を探し回っている姿がハッキリと想像できる。


「……」

会いたいが、会いたくない。

何ていえばいいのかわからないし、何て言われるのかも分からない。

心配しているのか、怒っているのか。


「お兄様に返すよ」


「え、ちょっとま…」

すぐに部屋の真ん中に黒い渦が出来た

瞬間

私は強く瞼を閉じて俯いた

怒鳴られるのか、抱きしめられるのか、叩かれるのか。



何も起こらない…

バベルは来ていないのか…

イリシアスが私を試したのか…


私はゆっくり目を開けた。


目の前にバベルが居た。

ただ、立っていた。


と同時に自分自身に落胆した。

バベルだったら、イリシアスが私に掛けているであろう

辛いことを忘れさせる魔法であったり

心を平穏に保つような魔法をすぐに払うだろうと思っていたが

バベルは何もしなかった。


イリシアスは私に魔法なんて掛けていなかった。


私は割とあっさりとソフィアの事を考えないでいたのだ。


バベルはゆっくり落ち着いた調子で口を開いた。

「マリアお前はこのままで良いのか?

お前の自由は逃げる事なのか?」


「良いのよ。私はあんたが来るまで

イリシアスといることでソフィアの事忘れられていた

私はあんなに大好きだったソフィアの死を

大して悲しまず、簡単に忘れられたの」


「お前が悲しむとソフィアは喜ぶのか?

悲しむのはマリアの自己満足じゃないのか?

他人の事ばかり考えてるお前がたまには自分の事だけになるのは良いかもしれないが

お前なら分かるだろう?

ソフィアは何を求めてるのか」


「……」

私は目を逸らした。


「我はこれから勇者を殺しに行く

これからどうするかはマリアが決めろ」

そう言うと、黒い渦と共に消えていった。


「イリシアス私は間違ってる?

私が来なければソフィアは死ななかった

ミドルは私の為にソフィアを殺した

私がソフィアを殺したようなもん…」


「マリアさんが何を言っているのか分からない

間違ってるかは分からない

でもマリアさんらしくないよ

ソフィアはマリアさんに会ったこと後悔してるとおもう?」


私はソフィアに貰った耳飾りに手を当てて考える

「後悔…は…してないと思う…」


「僕みたいな魔人にはマリアさんの他人の事を考える思考は分からないけど

だからこそ、事実が大事なんじゃないかな

ソフィアは勇者に殺され、勇者はお兄様に殺されようとしている

誰かの為やせいって事は関係ない。

結果は自分の選択なんだから」


「私…私の選択は…」


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