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囚われの姫と暴君魔王──運命か、恋か  作者: あいだのも


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ソフィア物語


ソフィア物語

私はソフィア・ノクターナ

辺境の村で生まれるも

魔力が強いらしく

すぐに魔王様に仕える為

城に送られた。


両親は私が城に仕えると決まった時

大喜びで代々伝わるという耳飾りを渡した。

あわよくば魔王家にその耳飾りが伝わるかもしれない

と妄想のみが膨らんでいた。


しかし、城での生活は肩身の狭いものであった。

城には各地から強きもの、美しきものが集まる。


私は強きものの中では一番弱く

美しきものの中では一番普通であった。


魔人は本能で自分より下の者を見下す。

私はいじめの的だった。


女性からは罵詈雑言を浴びせられ。

ザマザ達からは殴られ、蹴られた。


特に女性からは酷かった。

彼女らは魔力が高いわけではなく、すぐに老いる。


年頃を過ぎたら故郷に返されてしまう。

その間に子を産めれば城で将来安泰だし

何も無ければ、故郷に帰った所で田舎の売れ残りの男と結婚させられる

醜い将来しかないからだ。


その為結果を残そうと必死だった。



だからと言って、強きもの達のいじめが楽だった訳ではない。

私はそこそこ魔力があるとはいえ、攻撃の魔法は使えなかった。


出来ることといえば身体を小さくする事だけ。

反抗出来ない私はサンドバックと同じであった。


そんな辛い日々が続き

むしろ両親を裏切ってでも

故郷に帰って売れ残りでも何でも結婚して平穏に暮らした方が幸せだと思っていた時


バベル様が通りかかった。

私をいじめていたザマザ達は怯えだし

バベル様はザマザを楽しそうに殴りだした。


ザマザがその場に倒れ込み

「なんだ、もう終わりか…」

というと私の方に近づいて来た。


私はザマザの様にやられたら死ぬと思い

とっさに魔法を使った。


バベル様は小さくなった私を見て一瞬止まり

「はははは

ただ単に小さくなる魔法とは面白い

貴様、名は?」


「そ、ソフィアです」

「ソフィアよ、誰よりも小さくなり我の役に立つが良い」

と思いがけないことを言われた。


今思えば、バベル様がザマザをいじめ、

そのしわ寄せが私に来ていた訳だが、

当時の私にとっては救いであった。


誰より小さくなろうと決めたのだ。


そして、その時はやってきた。


「ば、バベル様が人間に封印されたらしいぞ」

この一大事件はすぐに世界中を巡った。


「どうするんだ、イリシアス様を呼び戻すのか」

「封印は解けないのか」


「私がバベル様の所に行ってきます」

私はこのためにこの城に仕えてきたんだ。


バベル様から寵愛を受けたくとも

私の事は女として見られていない。

バベル様が好きでも、完全な片思い。


それでもバベル様が掛けてくれた言葉に救われ信じ仕えてきた。

今こそ私の力が必要な時。


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