24話 最後の願い
そこからバベルの牢獄からリアナと勇者の話し合いの場に移った
「そ、そんな…本日封印を行うなんて…」
「ああ、今日は満月。
この機会を逃したら1か月後だ
それまで奴が大人しく捕まっているとは思えん」
「で、でも…」
「マリア姫、あの魔王に情が移っているな…
僕たちの子の未来の為にもこれ以上情が移る前に今日やるのだ」
「…分かりました最後にバベルと話しをさせて下さい」
また場所はバベルの牢獄に移り
「バベルごめんなさい…
今日封印される事になってしまったの…
ごめんなさい…
逃げて…」
リアナがそう言うと
バベルの姿がパッと消え
リアナを担いだ
「ちょっと…バベル…?」
「我はリアナとマロンパイが食べたい
今日帰れば良いのだろう?」
そう言うと目の前に時空の歪みを作り出した。
「でも、私の顔は国民にバレてしまっているわ」
そう言うとバベルはどこからか白いのっぺらぼうのお面を取り出した
「人間は装飾を好むのだろう?
我もその気持ちが知りたくて作ってみた
我の初作品だ」
バベルが初めに被っていたお面と似ている。
「ふふっあなたってセンスが無いわね…
でも、これしかないものね」
とリアナは仮面を被った。
表情は分からないが嬉しそうに思える。
そこから先は私にとって嫉妬ではなく
同情であった。
暖かな光が煌めく中
二人で楽しそうにお茶をしながらマロンパイを食べる。
二人の生い立ちから、何が好きなのか。
人間と魔人の違いや共通点
初めて二人で話しているとは思えないほどに会話が弾む。
傍目には幸せそうな二人だが
これが最初で最後…空しい。
最後の時間を過ごし
二人は時間通りに城へ戻ってきた。
「貴様…魔王…よくも私のリアナを」
そこには怒り狂った勇者の姿があった。
勇者はバベルに剣を振り下ろすも
その剣はバベルに触れる事すら叶わず弾かれた。
「バベル…やめて」
リアナがそう言うと
「ああ、分かっている。
我が貴様を殺さないのはお前の為だ
さあ、早く我を封印してみるがよい」
一同が向かったのは私も知る封印の間
バベルはその中央に立たされた。
「この場所をこんな形で使うとは思わなかったぜ
なぁ魔王!いい気味だろ?」
「バベル…」
リアナが俯く
「我はもう力も名誉もいらない
ただお前が幸せでさええいてくれれば…」
バベルがそう言うとリアナの目から涙が溢れた
「リアナァアさっさと封印しろ!」
勇者が叫ぶ
リアナの魔力がゆっくりと源泉に注がれる。
「バベル…最後に一つわがまま聞いて…
もし、私の子孫が儀式を断るようなら協力してあげて」
「我はお前の子孫の事など知ったことではないぞ」
「大丈夫よ私の子孫も私と同じで強く可愛いから
バベルの方がまた惚れるわ」
「ふっ…我を誰と心得る
この世を統べるもの魔王バベル
その時は好き勝手やらせてもらう」
そう言うと水が輝きだし
バベルの姿がなくなった。
一面闇の狭い空間にバベルは閉じ込められた。
「さてと…今度は何を造ろうか」
「ば…バベル様、何故こんな封印なんか…」
「ソフィアか、よくここに入り込めたな」
「私一人ならば何とか…」
「良くやった」
「良くやったなど…」
「ソフィア、ナイフェルに空間魔法を教わり
ここの空間を広げるのだ」
私が大好きだった小説…
だが実際は小説より哀しい物語
バベル側から聞いたのは初めて…
リアナもバベルを愛していた
「許してくれというわけではない。
我を好きになってくれという事ではない
我が好きな人に知って欲しかった
確かにリアナとマリアは似ている
初めは混同していた部分もある」
確かにリアナと私は似ていた。
でも、問題はそれじゃない
「話しは分かったわ、でも私の決意は変わらない」
バベルは少し悲しい表情をすると
「これが我の本当の最後の願いだ
我と一緒にマロンパイを食べに行ってくれないか?」




