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囚われ姫は暴君魔王に救われる  作者: あいだのも
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23話 バベルとリアナ



魔王城に帰るとすぐに荷物をまとめた。



ソフィアを探したが何処にもいない。


淑女の一人に聞いてみたら領地で問題が起こっているそうで出払っているとのこと。


せめてソフィアには直接言いたかったけど

文章にまとめて私が使っていた部屋に置いていった。


ソフィアはおばあちゃんだけど魔人

下手したら私の方が先に死ぬかもしれない

それまでには一度くらい会えるだろう


荷造りが終わりいざ部屋を出ようとしたら

扉の外にバベルがいた。

「マリア待ってくれ…話を聞いてくれ」


「今さらあんたの話なんて聞きたくない」


バベルは一瞬躊躇し、頭を思い切り下げた

「頼む!恥を承知で我の全てを伝えたい」


冷静に考えてみれば

このままバベルをほったらかして

逆恨みの様な事されるよりは

「話を聞くだけよ

但し、その代わり人間には手を出さないで」


そう言うと少しほっとしたような顔をして

「ありがとう」と言った。


「あんたの全てを伝えるって何?」


「全ての事象はこの空間すべての記録

マリアにはあった事そのまま伝えたい」

そう言うとバベルの手がゆっくりと宙に浮かび上がり、

指先から微細な光の糸が広がっていく。

その光の糸は、空間そのものを包み込むように広がり、

透明な膜のようになった。


『我にとって何も思い通りにならないことなんて無かった』


空間が変質し、新たに形を作っていく。

バベルの言葉が脳内に流れてくる。


『魔人にとって魔力は生命力であり権力

生まれた時から最強

生まれた時から王様

魔人の弱き者は強きものに支配されるのを望む

我が支配者になるのは必然であった。

我は周辺部族を支配し、国を作った』


波打つように表れた風景は、いじめられているザマザ、無関心なイリシアス、

関わらないようにしているナイフェルともう一人の幹部の姿

バベルに恋しているソフィアの姿があった。


『そして、人間の国に攻め込んだ』


『人間は弱く、脆い。

その割に中々支配が出来なかった。

魔人にとって10年はあっという間。

しかし、人間は10年あれば兵が代わる』


『何より違うのが、力に対して感じるものが支配や従順ではなく恐怖であった』


戦争…

人間に対する目を覆いたくなるような光景が広がる。


『100年ほどそのような硬直状態が続いた時

どこから紛れ込んだのか一人の人間の娘が我の前に現れた』


その人間の姿、何から何まで私にそっくりであった。

そして、思い切りバベルの頬を引っぱたいた。


「なぜあなたはこのような悲惨なことをするのですか!?」

「我はこの世界の王

全てを支配する者だからだ」

「それはあなたが決めた事なの?

可愛そうな人…」


『そう言うと我に同情の目を向けた

払えば消えてしまう命が向けた

我に対する初めての反抗、同情

我がその時感じたのは怒りではなく興味であった』


『それから何度も何度も彼女は一人で

我に侵攻を止めるように説得してきた。

人間のマナーらしくいつも菓子折りを持って』


『我は一切食べなかったが、ある時』

「あなたは食べる必要がないから強さでしか見れないのよ

食べない、食べられないからすべて意味のない暴力になるのよ」


「我にとって食事は必要無い

でもそこまで言うなら食ってやろう」


「どう?美味しい?」


『その時に食べたのがマロンパイであった

衝撃であった。

我の脳を直接殴られたような感じであった

世界が彩られた

彩られた世界で同じマロンパイを幸せそうに頬張るリアナはとても可憐に輝いていた』


「リアナよ、我と子を作るのだ」


というとリアナは怒り

「私は自己中で見下す人

気に入らないことがあると直ぐ殺す人大嫌いなのよ」

と小さな火の魔法を我に放ち帰っていった。


行動まで私にそっくり…

だからこそ分かる。

リアナは人間の為に恐怖を抑え

バベルの所に来ているのだと。


『それからリアナは我の元に来なくなった

我はリアナの気を引くために人間の侵攻を再開した』

バベルの幼稚なところは今も変わっていない…


『だが、攻めてもリアナの姿は無かったため

我が直接出向き、人間の城まで侵攻した』


『そこで目にしたものは捕えられたリアナの姿であった』


「バ…バベル…」

「お、おい!魔王め

リアナ姫は俺の妻だ!」

私たちの時代の勇者の衣服を纏った男がリアナを盾にしている。


「バベル…もういいわ…人間を滅ぼすなり好きにして…」

リアナは絶望したような顔をしている。


「な、リアナ何てこと言うんだ!

作戦通り、この野蛮な魔王に大人しく捕まるように言うんだ!」

勇者はリアナの首元に剣を突きつける。


「我を捕えるか…」

バベルはそう言うと両手を広げ

その挙動に一同はビクっと反応したが

「何を怯えておる。

我を捕えるのだろう?」


『我は囚われの身になった。

別に抜け出そうと思えば簡単に抜け出せるが

それはリアナの為にならない

リアナも軟禁されていた様だが、

毎日のように我のもとに足を運んだ』


「何で、あんた大人しく捕まっているの?」


「貴様は私は気に入らないことがあると直ぐ殺す人は大嫌いなのだろう?」


そう言うとリアナは顔を赤らめ

「でも、あんた魔人だし、私は人間だし…

それに私はフィアンセが決まっているのよ…」


「何故だろうな?

今は我の城で幸せそうにマロンパイを頬張る貴様の姿が頭から離れないんだ」


そう言うとリアナは我慢していたものが溢れたように泣き出し

「ごめんなさい…

あなたの封印が決まったの…」

「我を封印?

人間の魔力で出来るわけ…」


「人間の城がここにある理由…

神聖な湧き水を守っているの。

私以外の人間はほとんど魔力が使えない

だから、人間は自然の力を使った祈りと呪いを使うの

私の少ない魔力を全て神聖な湧き水に注ぐことで一定期間破れない結界になる

そして私達の子供は一人、女児しか生まれない代わり呪いを掛け

私の魔力を代々受け継ぐの

他にも呪いの祭りや街を封印式状に建て替えたり…

だからもういいの、ここから出て…」

リアナは切なそうに自分のお腹を抱える


「我は大人しく封印されよう

ただ、最後の願いだ。

あのマロンパイが食べたい」


「ええ」

リアナは涙が滲んだ顔で微笑んだ。




「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。




⚫︎最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい 完結済

https://ncode.syosetu.com/n4187hi/


他種族の接触が禁じられた世界

最恐のオーグンが他種族の女の子と仲良くなりたくて人間の王子と旅をする物語です。

お馬鹿で変態だけど純粋なオーグンの冒険を覗いてみてください。

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