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囚われの姫と暴君魔王──運命か、恋か  作者: あいだのも


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18話 ミドルの旅立ち

勇者ミドル編



姫が連れ去られてしまった…

幸い魔王が去ってからすぐに王国に掛けられた魔法は解かれた。


すぐに姫を助けにいかなくては…


「ミドル待て」


暗闇に包まれた道から国王様が現れた。

「国王様、私の責任です

私が行って片を付けなければなりません」


「だから待つんじゃ

一人で行って何になる」


「ですが…!」


「お前もだぞレイナ!」


気が付かなかった…

僕の後ろにレイナが居た…

完全に気が動転してしまっている。


「私も行きます」


「駄目じゃ、お前にもしもの事があったら王族の血が絶えてしまう」


「ですが、私の血は形だけ、

魔力の持たない私は王族である必要はございません」


「駄目じゃ、お前らで行ってもたかが知れている

せめて少しの希望でもある形なら」


国王の言葉に少し冷静になれた。

確かに感情に任せて突っ込んでも魔王は意にも介さないだろう。

あの実力差…種族差だと瞬殺される。


「…昔の盗賊仲間に当てがあります」


「…駄目じゃ

お前の仲間がどれほど手練だろうと

強くて我らと同レベル。

魔王とは桁が違う」


「ですが、我ら騎士は守る戦いですが

盗賊は奪う戦い。

強さが違います」


「駄目じゃ」

国王様は大きく首を横に振った。


「それじゃあアルベルトさんを連れていけたら良いですよね?」

レイナが横から口を挟んできた。

アルさん…もちろん頭には浮かんだが…


「あの愚弟か…あいつが動くとは思えないが…」


「私が頼めば断れないはずです」

なぜか自信満々に答えるレイナに疑問が湧く。




その足で僕達はアルさんの所へ向かった。

実力だけなら、国王を凌ぐ強さ。

幅広い知識を持ち、深い洞察力を持っている。

僕たちの師匠でもある。


ただ、とてつもない変わり者。

勇者にも一切興味を示さず、

僕たちへの指導と国の一大事以外は自室に閉じこもっている。


そして、彼の趣味が少女の人形収集。

自室はそれらで埋め尽くされている。


城から抜け出す時、アルさんを人形で買収し

手伝ってもらったものだ。


ただ、今回は違う。

いくら人形好きとはいえ、人形では動いてくれるはずがない。


彼の自室前に着いた。

「アルさん」

自室に呼びかけると中から

丸眼鏡を掛け、太った中年男性が出てきた。

この容姿でいったい誰が強いと認識するだろうか。


だが、容姿とは関係なく彼は強い。

一緒に来てくれるならこの上なく心強い。


「ミドルにレイナか久しぶりだ…が何の用だ?」

アルさんは気だるそうに答えた。


「アルさん、今この国に起こっている事知っているでしょ?

姫を助けに行くのに一緒に来てくれないですか?」

僕がそう言うと


「ミドル、お前が勇者になったのは知っている。

俺がたとえ人形に釣られたとして行くと思っているのか?」

そう、思っていない。

この人にとって大事なのは自分の生活だけ。

最低限の仕事しかしなくても強さと国王の弟って事だけで許されている。

そして、自分の身もわきまえている。


相手が魔王なら敵いもしない戦いはしない。

戦いに行くより、殺されるまで自分の趣味に没頭したいと思っている。


だから交渉は不可能だ。

レイナはどうやってアルさんを連れて行くのか…


「アルさん、私が頼んでも駄目…?」


「…駄目だ」

レイナの言動に少しアルさんの声色が変わる。


「私ならあなたを今すぐここから追い出せるのよ?」

レイナが脅すように言うと

アルさんは苦そうな顔をして少し考えた

姫ならまだしも、先代の男妾の子であるレイナにそれだけの権力があるのか…?

「…だ、駄目だ!今追い出された所で魔王が攻めて来たら…」


「魔王がこの国に興味が無くても、攻めて来ると思っているの…?

魔王に襲撃され私たちが生きている意味分かっているわよね…

私たちと行けばあなたの秘密黙っていてあげる」


「っ…わ、分かったよ…準備すりゃ良いんだろ!」

お、折れたアルさんが…


「アルさん、ありがとう!

正門前で待ってるわ」

そうレイナが言うとブツブツ言いながらアルは自室に帰っていった。



「レイナ、アルさんの秘密って…」


レイナはしっと人差し指を立てると

「ミドル、言ったそばから約束破れる訳無いでしょ?

ほら、これで国王の許しが出たわ

マリアを助けにいくわよ」

そう言うと、言葉とは裏腹に

足取りが少し重そうに正門に向かっていった。







正門に行くと

アルさん、レイナが旅の準備を済ませ

国王と王妃が見送りに来ていた。



「アル、まさかお前が行くとは…」


「…不本意だよ…」

と不満そうに答えた。


「お前が居てくれるなら少しは安心だ

頼んだぞ」


「無茶だけはしては駄目よ」

王妃も優しく見送ってくれた。


「はい」



僕たちはこうして姫を救出する旅に出た。




「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。




⚫︎最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい 完結済

https://ncode.syosetu.com/n4187hi/


他種族の接触が禁じられた世界

最恐のオーグンが他種族の女の子と仲良くなりたくて人間の王子と旅をする物語です。

お馬鹿で変態だけど純粋なオーグンの冒険を覗いてみてください。

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