16話 脱皮
私はパーティの食事をドカ食いし
イリシアスは相変わらず偉い人と話しをしていて
その偉い人が代わる代わるバベルに祝辞を述べに行く。
バベルはかなり不機嫌そうに座っている為か
祝辞を述べる人全員が冷や汗をだらだらに流しながら述べ
終わったら全ての力を使い切ったかのように自分の席に帰っていった。
私の前に三人の淑女が現れた。
彼女の内の一人が試験管のような物を取り出した。
中には虫の魔物のようなものが入っていて
それを私の料理に掛けた。
料理に絡まった虫が蠢いている。
「人間って虫が主食なのでしょう?
そんな魔人の食事よりこっちの方がお似合いよ」
ソフィアの心配事が当たった。
普段の私なら彼女らの雰囲気に飲まれ
萎縮してしまうだろうけれど
バベルに啖呵を切った後だと彼女らの行動が可愛く思えた。
そして、ソフィアから聞いた彼女らの事を思い出した。
彼女らは過去の私に重なる。
周囲に運命を決められ
運命に抗いたいと思いながらも
抗う勇気がない。
だから運命の中で出来る小さな抵抗しか出来ない。
そう思うと彼女らにではなく
私自身に腹が立ってきた。
彼女らが虫を掛けた料理を虫ごとたいらげ
「魔人の箱入りお嬢様はたかが虫を食べる度胸すら無いのですね」
と言ってやった。
昔の自分に言っているようで、
言葉にするとものすごくすっきりした。
彼女らは悲鳴を上げながら四方に散って行った。
清々しい気持ちになっていると、目の前がグワングワン歪んできた。
これはお酒を飲んだ時と同じ…
立っていられなくなり、倒れ込みそうになった身体を
イリシアスが支えた。
テーブルクロスに残っている虫を見て
「影虫だね。刺されると脳の判断力を低下させる毒虫。
食べた人は初めて見たけど、安静にしていたら毒は直ぐ抜けると思うよ」
イリシアスは私を屋上の庭園に連れていき
芝生の上に寝かせた。
「ったくよーどいつもこいつも運命だ宿命だとかいって
なんでもかんでも諦めやがって」
色んな人に啖呵を切って
毒のせいで判断能力が鈍り
今まで抑えてきた物があふれ出てくる。
私は支えるイリシアスを振り払い立ち上がり、
城の外へ向かって叫んだ!
「決めた!
私も自分の好きなように生きる!
バベルが腹いせに人間を滅ぼそうがなんだぁ!
流されてミドルと結婚なんてしてたまるかぁ!
どいつもこいつもウザってぇんだよぉおおお!」
私の声は闇夜に消えていった。
「イリシアス、お前もよぉ
何が雲のようになりたいだ!
お兄様お兄様ってあのクソバベルに振り回されやがって
あれだ!クソバベルがお前の風なんか!?
ほら、お前も叫びたいこと位あんだろう?」
イリシアスははっとしたような顔をする。
少し考え込み
「そうだね…僕はお兄様に振り回されてばっかだ…」
と切なそうに言った。
「なぁんだよやらないのかー?
何でもかんでも流されるんじゃなくて、
せめて自分で流れる風位えらべよなぁ!
おっ!私今なんか上手い事言ったぁ!?」
イリシアスに顔を近づけて頭をポンポンと撫でる。
「おい!イリシアス!
マリアが倒れたって本当か!?」
バベルが庭園の空間からふっと現れた。
続いてソフィアも現れた。
バベルが私に近づくと
イリシアスはバベルから私を奪う様に抱き合あげ
「お兄様、僕にとっての風はあなたじゃなくてマリアだ
僕がマリアを幸せにする」
…?
バベルの表情が見る見るうちに変わっていく
「貴様ぁ、我から奪おうっていうか…?」
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筆者が泣いて喜びます。
⚫︎最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい 完結済
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他種族の接触が禁じられた世界
最恐のオーグンが他種族の女の子と仲良くなりたくて人間の王子と旅をする物語です。
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