1話 プロローグ
今夜、二百回目の満月が昇る。
その夜、私は“勇者の婚約者”に選ばれる。
王女として生まれた時から決まっていた運命。
魔王の封印を保つため、代々の王女は勇者と婚約し、
その命と魔力を捧げる。
国の民は祝福してくれる。
「選ばれた姫だ」「国を守る尊い存在だ」と。
でも、自分の未来も恋も選べない人生を、
どうして祝福だと思えるだろう。
城の高い塔から夜空を見上げる。
星は自由に瞬くのに、
私だけが鳥かごの中で羽を畳んでいる気がした。
ーー恋を知ったのは、偶然忍び込んだ王立図書館でのこと。
幼馴染のレイナと、閉ざされた棚の奥で見つけた一本の物語。
敵国同士の男女が恋をして、それでも運命に抗い続ける話だった。
胸が熱くなった。
苦しいほど鼓動が高鳴った。
「これが恋……」
本の中の世界でしか知らない感情。
それでも私は、あの時確かに恋に憧れた。
だけど現実は違う。
私の婚約は儀式であり国の義務であって、
誰かを“好きになる”余地などない。
それでもーー
「せめて一度でいい。
私も、自分の意思で誰かを好きになってみたい」
父王の呼び声が響き、私は現実へと引き戻された。
許されざる願いだと知っている。
それでも、心は静かに叫び続けていた。
──私は、生きたいように生きたい。たとえ許されなくても。
「良かった」と思ってくださったら
是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。
筆者が泣いて喜びます。
⚫︎最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい 完結済
https://ncode.syosetu.com/n4187hi/
他種族の接触が禁じられた世界
最恐のオーグンが他種族の女の子と仲良くなりたくて人間の王子と旅をする物語です。
お馬鹿で変態だけど純粋なオーグンの冒険を覗いてみてください。




