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侯爵様はヴァンパイアを妻にお望みのようです  作者: リラ
乙女は薔薇のように、鮮麗に
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せっかく

自分の屋敷へと戻ったクライヴは、教会へ鳥籠のヴァンパイアに会いたい、という旨の手紙をしたためた。夫人によれば、誰もしようとしないから知らないだけで、ヴァンパイアへの面会は可能らしい。


会ったとしても夫人のように記憶は曖昧になっていくため、教会も容認しているとか。規律はきっちりしているのかと思いきや、意外と隙のある教会に苦笑してしまったクライヴだが、この際は丁度良かった。


そんな中。教会からの返事を待つクライヴの元へフランチェスカが訪れたのは、その日の正午過ぎの事である。客間へ向かえば、少しがっかりした表情で出迎えられた。


「あら。レイチェルはいないの?せっかく実家の方に来たから、挨拶に来たのに」


自分だけが姿を見せた途端にそう言ったフランチェスカに、正面の椅子に座りながら思わずクライヴは苦笑した。レイチェルに会いに来てくれたのは嬉しいが、少しはこちらも気にかけて欲しいものだ、と。


恋愛感情は既に無いが、一緒に育った幼馴染を気にかけてくれてもいいだろう、というのがクライヴの言い分だった。


フランチェスカの実家は伯爵家ではあるが領地を持たず、古くからアッシュベリーで暮らしている。侯爵家とは縁が深く、かつては侯爵家を補佐する家であったらしい。


元々は男爵家であったが、その後、当時の男爵が戦での功績をたたえられ、伯爵へと格上げされた。しかし、領地は謹んで辞退したため、現在もアッシュベリーに暮らしているのである。


お互いの家への行き来もあり、クライヴとフランチェスカは一緒に遊んでいた。侯爵夫妻も伯爵夫妻もおおらかで、子供たちを自由に遊ばせていたものだ。


領地へ帰る度に兄妹のように遊び、クライヴにとっては初恋の相手となる。今となっては、懐かしく青い思い出だが。


レイチェルと出会わなければ、振られた事をいつまでも引きずって、結婚しないまま人生を終えていたかもしれない。それを考えると、あの時レイチェルに声をかけて良かったと思うのだ。


そして今は、レイチェルがいない生活など、クライヴにはもはや考えられない。最初はただの興味であった事は事実だが、今は違うのだという事を、きちんと会って伝えなければならない。


本当は、もっと早く言うべきだった。まったく自分の血を飲まなくなった時から、きっとレイチェルは独りで何かを抱え込んでいたのに。


これまでの、レイチェルの表情が浮かんでは消えていく。楽しそうな笑顔、泣いた顔、怯えた仕草。そのどれもが、愛しくてたまらない。


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