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侯爵様はヴァンパイアを妻にお望みのようです  作者: リラ
再会は春嵐のように、凄絶に
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あっという間に

社交シーズンは、あっという間にくるくると過ぎていく。


最盛期である夏も終わるこの頃、レイチェルも何かと忙しい。お茶会に呼ばれ、王宮のサロンに招かれ、舞踏会や晩餐会に出席する。ある時は久しぶりに侯爵邸に客を招き、女主人として采配を振るった。


その日、レイチェルとクライヴは、王妃主催のガーデンパーティに招待されていた。今季のシーズンを、華やかに締めくくろう、というわけである。


王妃とその子供たちの為に建てられた小宮殿は、湖の前に建てられていた。背後には山が聳え、建物を包み込むように森が広がり、街からも離れているため静かな宮殿だ。


王太子の堅牢な宮殿とは違い、華やかな印象をレイチェルは受けた。静かで、のびのびと過ごせそうだわ、とクライヴと腕を組んで歩きながら思う。


カーデンパーティは宮殿の東側、薔薇園の中央に位置する広場で開かれる。その為には王宮のホールを突っ切って行かなければならず、入る順番も決められているため、些か面倒くさい。


侯爵とその夫人であるところの二人は、初めの方に呼ばれるものの、全員が揃わなければ王妃も挨拶を始められない為、待つことに変わりはない。


日傘をさしたレイチェルは、少し日傘を傾けて空を仰いでみる。快晴の空が目に眩しく、思わず瞬きをした。空色のドレスに、肘までを覆う白い手袋をした可憐な姿のレイチェルを、ヴァンパイアであるなどと誰が思うだろう。


レイチェルの仕種に微笑みながら、クライヴが口を開く。


「もう夏も終わるというのは早いな。レイチェルと出会って、まだ半年も経っていないか。もっと長くいる気がするのにな」


レイチェルは笑って、クライヴに視線を向けた。


「そうですわね。あの夜が遠い過去のようで、あっという間に時間は過ぎてしまいます。それこそ、一年だってあっという間に……」


自分の言葉に胸が痛み、レイチェルはそっと笑う。レイチェルにとってただの暇潰しだと思っていた生活が、今では当たり前になっている。


クライヴと交わす朝の挨拶から始まり、一緒に食事をして、他愛もない会話をする。いつだって、穏やかで優しい時間がそこには流れていた。


いつか終わる、夢のような日々だ。小さい頃のレイチェルが憧れ、ヴァンパイアになったレイチェルが諦めたもの。


それを思っただけで寂しい気持ちになる自分に、思わずため息をついてしまう。最初から結末は分かっていた事じゃない、と。


それは、遥かな時を生きるヴァンパイアの定め。数多の出会いと別れを繰り返した彼らは、時折訪れる孤独感をどうやって癒したのだろう。


大勢の貴族たちの中で、レイチェルは言い知れぬ不安を感じてしまうのだ。


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