幼馴染
ふふふ、と笑っているレイチェルの腕を組み、フランチェスカがレイチェルを見上げる。上目遣いにじっと見つめられると、どんな秘密でも話してしまいそうだ。
実際は、フランチェスカの方が、レイチェルのそういう視線に弱いのだけれど。昔からフランチェスカは、レイチェルが可愛くてしょうがなかったから。可愛い妹の頼みなら何でも聞くわ、というのが口癖だった。
今もそうやって二人が並ぶと、本当に姉妹のように見えた。街へ出かけた時も、大抵は姉妹と間違われるのだ。ちなみに、フランチェスカが妹でレイチェルが姉だ。それにフランチェスカが憤慨していた事を思い出し、レイチェルは再び笑う。
「貴女はいつ見ても変わらないわね。私の主人なんて、子供を産んでからちょっと太った? なんて言うのよ」
唇を尖らせながら言ったフランチェスカは、それでも25歳には見えないほど可愛らしい。
「あら。それはいけませんわね。フラン叔母様は今でも十分スラリとしていますわ」
「そうでしょう? あの人、今は別室で料理を食べているのだけどね、そのせいかしら、最近横に大きくなっている気がするのよ。結婚したばかりの頃より、あの人の方がきっと増えているわ」
可愛らしく怒るフランチェスカにもう一度笑ったところで、レイチェルはクライヴの姿を見つけた。きっと捜してくれていたのだろう。目が合うと、ホッとしたように笑いながら、こちらへ歩み寄って来た。
「レイチェル。こんなところにいたのか。捜したじゃないか」
そう言いながら、何とはなしにレイチェルの隣に目を向けたクライヴは、僅かに目を瞠った。それは本当に僅かで、レイチェルでなければ気が付かなかっただろう。実際、フランチェスカは気が付かなかったようである。
「……フラン?」
「お久しぶりね、クライヴ」
「あら。二人はお知り合いでしたの?」
二人を交互に見つめながら言ったレイチェルに、フランチェスカが笑う。
「幼馴染みなの。お姉様は、つまり貴女のお母様はもう結婚していたから知らないと思うわ。それにしても、貴女とクライヴが結婚するなんてね。この人見た目はいいのに、まったくそういう話が無かったのよ。だから、お姉様に聞いた時とても驚いたわ」
こそこそと、内緒話のように耳打ちする。しかし、クライヴには丸聞こえだ。
「それはもういいだろう」
はあ、とため息を吐くクライヴ。きっと何度も言われてきたのだろう、と簡単に想像できる。うんざりした顔のクライヴに、レイチェルはこっそりと笑った。




