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侯爵様はヴァンパイアを妻にお望みのようです  作者: リラ
思い出は星のように、銀色に
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鳥籠にて

レヴィの鳥籠の、裏庭に面した硝子張りのサンルーム。そこがレイチェルのお気に入りの場所だ。森の木々のお陰で、それほど強い日差しは届かないが、この屋敷で一番明るい場所。


裏庭は黄薔薇の生垣に囲まれ、芝生が目にも鮮やかだ。花壇には、レイチェルが世話を任された色とりどりの薔薇が、優雅に咲き誇っていた。


揺り椅子に座り、鳥のさえずりを聞きながら本を読む。長い時間をもて余す事もあるが、レイチェルはそれほど退屈だと思うことは無かった。


「レイ。おいで、僕の可愛い小鳥。お茶にしよう」


聞こえてきた声に立ち上がり、続きになっている食堂へ入ると、レヴィがお茶の用意をしている。いつも美味しそうな香りがする食堂もまた、居心地の良い場所には違いない。


光が差し込むステンドグラスが美しく、淡い緑色のクロスがかけられた丸テーブルには、赤と白の薔薇が活けられている。今朝、レイチェルが摘み取ったものだ。


他にも、卓上にはクッキーやケーキが並んでおり、その美味しそうな様子に顔を綻ばせる。あとはお茶を待つばかりね、とレイチェルは自分の定位置に腰かけながら、レヴィに向かって問いかけた。


「ねえ、レヴィ。前から気になっていたのだけど、どうしてわたくしをそう呼ぶの?」


問いかけられたレヴィは、口元に笑みを湛えながら答える。


「君が小鳥のように愛らしいからだよ。あとは、僕が親鳥みたいなものだからね。僕を初めて見たときも、怖くなかっただろう?」

「ええ。むしろほっとしたくらいよ」

「その体には慣れた?」


レヴィからの問いかけに、レイチェルは肩を竦め、クッキーを摘まむ。このさくさくと香ばしく、花や星を象ったレヴィお手製のクッキーが、レイチェルは大好きだ。


料理上手なヴァンパイアというのもおかしな話だわと、初めて目にした時には思ったものだけれど、今では当たり前の光景だ。


ヴァンパイアになってまずレイチェルが驚いたのは、こうやって人と同じものを食べられるということ。 てっきり、血しか口に出来ないと思っていたから。


教会が食料を持って来た時も、もちろん驚いたのだけれど。今着ているワンピースにしても、レヴィの衣装にしても、教会に頼んだ物だと言うのだから驚きだ。


それを口にした時、レヴィはこう答えた。


『今の世で僕らは働けないからね、お金がないだろう? けど、食べる物や着る物は必要だ。人間が聞いたら卒倒しそうだけど、教会の経費の大半は僕らに使われる。だって、奪われるよりはましじゃない?』


にっこりと笑ったレヴィにそれ以上の追及は止めて、レイチェルは素直に頷いたのだった。


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