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侯爵様はヴァンパイアを妻にお望みのようです  作者: リラ
思い出は星のように、銀色に
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可愛い小鳥

小首を傾げる姿は、どこからどう見ても貴公子だ。とても、数百年を生きたヴァンパイアには見えない。隣国の王子だと言われたら、きっと誰もが納得するのではないだろうか。


「レヴィ!やっぱりあなただったのね!」

「もちろん僕だよ。久しぶりだね、レイ。彼は置いてきてしまってよかったの?」

「小鳥が親を見つけたら、思わずついて行ってしまうのは当然じゃない」


微笑みながら言ったレヴィに、レイチェルも微笑みながら答える。確かにクライヴに何も言わずに来てしまったが、こればかりはしょうがない。子供じゃないのだから、姿が無ければ捜すだろう。


そんな開き直ったようなレイチェルの考えが読めたのか、レヴィは口元に手を当ててくすくすと可笑しそうに笑った。


「そうだね。僕の可愛い小鳥」

「そう呼ばれると、あの頃を思い出すわね」


ふふふ、と笑って、レイチェルは出会った頃のことを思い出す。


ヴァンパイアの暮らす鳥籠は、森の奥深くに点在している。鳥籠とはいっても、普通の人間の屋敷と造りは変わらない。


常に教会の人間が巡回しているが、直接関わるような事をしなければ、気にならない存在である。定期的に、別の教会の人間が食料や、頼めば衣装なども要望通りのものを持って来てくれから、特に不自由に思った事も無かった。


レイチェルが鳥籠で暮らしたのは、ヴァンパイアとして目覚めてから二年間。目覚めてすぐの頃は、自分が人間とはもう違う存在である事を理解しながらも、戸惑っていたが、レヴィの事はすんなり受け入れていた。


それは、自分に流れる血がレヴィの血であることを、知っていたからだろう。血を受けてヴァンパイアになったものは、その人物の眷属になったようなもの。怖れる必要は無いことを、解っているのだ。


目覚めて少ししてレイチェルは、自分がどうしてヴァンパイアになったのかを、レヴィに問うた。その時レヴィは、嘆き悲しむ夫人が哀れで、そして若くして命を落とした娘が不憫で、血を与えたのだと答えた。


ヴァンパイアをもはや蔑むようなこの国にあって、それでも娘を取り戻したかった夫人のその行動が嬉しかったのかどうか、レイチェルは今でも分からない。


本当のヴァンパイアについて、ゆっくりとレヴィに説明されたレイチェルは、すんなりそれに納得した自分に少しだけ驚いた。


この国では小さい頃から、教会の教えを刷り込まれる。レイチェルももちろん、教会は素晴らしいのだと、信じて疑わなかったほどなのに。


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