女神ステラの世界が救われた話をしよう世界-仲間-
「早く顔を上げてくれ、ステラ」
勇者殿の声に促されて上半身を起こして顔を上げる。目元の込み上げてきていたモノは精一杯頑張って引っ込めた。
「良かった。もう少し遅かったらエメオールに殺されていた……」
「ユキシロじゃなかったら目撃した瞬間に射貫いていたわ」
「かなり珍しい光景でした。絵画にすれば売れるかもしれません」
絵画を売ると発言した長身の金髪エルフをエメオールが殴り飛ばした。エメオールの細腕でよくも飛ばしたと言いたくなるほどの距離を飛んだ金髪エルフことアルガトは花壇に頭から突っ込んでいった。
彼は商売をやっているのでつい発想が口から出てしまったのだろうけれど、横にエメオールがいたことが不運だった。
「どいつもこいつもステラ様に対して無礼よ」
「落ち着け、エメオール。皆、まだ再会の喜びに浮かれているのだ。多少は許してやれ」
「ライザック、あなただから普段は多少耳を傾けるけど……ステラ様に関する無礼については黙ってられないわ」
「では私も殴られないように黙っておこう」
殴り飛ばされたアルガトが笑い声をあげるスティルグに手助けされて花壇から抜け出してきた。
「ふぅ、ひどい目に合いました。エメオールの暴力性も最近は収まってきたと思ったのですが……」
「私は暴力的じゃないわよ」
エメオールの発言に周囲の男性陣が目を見開いて信じられないという表情を浮かべる。ライザックは仮面をかぶっていたが動作からどんな表情をしているかは想像出来た。
「ふふ、そうね。エメオールは私のために行動してくれているだけだものね」
この状況はエメオールが少し可哀そうだと助け舟を出す。
「はい、その通りです。ステラ様」
「女神様も女神様でエメオールには甘いよな。あっ、ヴェルーラ返せよ」
「スティルグ。あなたね、本当ならこのまま没収よ。次同じようなことしたら返さないからね」
「ん? スティルグ……あなたもステラ様に何か無礼を?」
「い、いや、何にもしてねぇって。な、なあ?」
エメオールのすごみの押されてスティルグが助けを求めてきた。実際に在ったことを話した場合、エメオールは本気でスティルグを弓矢で貫きかねない。
「そうね。エメオールが心配するようなことはないわ。私は無傷だし」
「ステラ様がそうおっしゃるなら」
エメオールが素直に引き下がり、スティルグは胸を撫でおろした。私は皆と話したおかげで沈んでいた気持ちがだいぶ楽になっていた。
「ステラ、改めて言う。ここへ連れてきたことは許していない。ここに連れてきてくれたことに感謝している。皆に会えたのは間違いなく素晴らしい出来事だった。言ってることは相変わらずちぐはぐだけど……結局言いたいことはコレだ。ありがとう」
私は皆の視線に押し出されるようにしてようやく差し出された勇者殿の手を握り返すことが出来た。
罪を感じつつも感謝を受け入れることが出来た。




