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女神ステラの世界が救われた話をしよう-自由奔放な槍使い-

「一応言葉通り理由を受け取るとしてもあなた仕事は? 見回りの途中だったんじゃないの」

「そんなのツマラナイから抜けてきたに決まってるじゃん。国の英雄として国民にサービスもしたし、仕事としては十分全うしたと思っているけどね」

「副団長になったんでしょ……。部下への示しとかないの?」

「ない。俺は俺だし、偉い立場になりたかったわけでもないんでね。でもまあ貰えるものは貰っておこうってことで副団長に。ちゃんとした肩書きの一つくらい在った方が女の子が寄ってきやすいしな」

「騎士団の品格があなた一人のせいで下がっている気がするわ」

「そこはまあ今更だろ。ずっと俺はこんな感じだし」

「だからこそあなたを追い出さない騎士団に感謝しなさい。騎士団長は親代わりでもあるんだから」

「説教はその騎士団長のオヤジから聞き飽きてるよ。女神様直々のお言葉でも俺にはもう許容できないくらいな」

「……もういいわ。説教とかするだけ無駄なのはとっくに分かってるし」

「そうそう。無駄なことはしないほうがいいって」


 スティルグと話しているだけで精神系の魔法で攻撃されているかのように疲労が溜まっていく。


「少し前までライザックと一緒にいたのだけど……あなたと出会って今の感じで話をしたらと考えると不安になってきたわ。祝いの席なんだから二人でいつかみたいに喧嘩しないでよ」

「それはライザックのおっさん次第。俺だって勇者ちゃんと姫さんの祝いの席をぶち壊すようなことはさすがにしないさ。けど、別に態度を改めるわけじゃないからな。何かがライザックのおっさんの怒りに触れたらどうなるか。そうなって式がめちゃくちゃになったら責任はおっさんだよな」

「ライザックはいつも以上に我慢するでしょうから。あなたから余計な挑発はしないようにと勧告しているのよ」

「だから気を付けはするさ。気分が乗ってきたらどうなるか分からないけど」

「光の封鎖」


 私は右手を軽く掲げて呪文を口にするとスティルグの周囲に無数の光の鎖が出現した。スティルグは驚きつつもこれからどのような攻撃があるのかを察して光の鎖から離れようと高く跳躍する。私が光の鎖を動かすよりも早く距離を取られたため、これから光の鎖を動かして捕まえようとするのは難しい状況になる。

 スティルグも状況が自分に有利になったことを確信して笑みを浮かべていた。

 私としてはここまではスティルグなら対応するだろうと分かっていた。だからこそ、最初にスティルグの視界には収まらないほど広大に光の鎖を既に展開していた。後はスティルグに向けて収縮させていくだけになる。

 拘束用の魔法である光の輪は私が指定した対象のみを捕縛できる。それ以外のモノには生物、無生物に関わりなく通り抜けるので無害だ。また収束する速度も光の速さであるため、危険だとスティルグが察知したと時には既にスティルグの体に光の鎖が巻き付いていた。


「っ!?」


 光の鎖に拘束されたスティルグはその場に片膝をついて私を見上げた。光の鎖は拘束と同時に拘束対象が持つあらゆる力を低下させることができるため、今のスティルグは人間の赤ん坊程度の腕力しか出せない状態だ。


「まったく見えなかった……ははっ、どんだけすごいんだよ、この女神様は」

「女神が直々に捕まえているのに反省する気もないね」

「反省よりも完全復活した女神の力を体感できて嬉しさが勝ってるだけだって」

「嬉しく思わないでほしいんだけど」

「まあまあ、気持ちくらいは受け取ってくれよ」


 スティルグが片足を大きく後ろへと何かを引っ張るように動かした。私はスティルグの動きに疑問を覚えたと同時に背後から迫ってきた何かを慌てて掴んだ。


「!?」


 私は自分の掴んだものを見て驚いた。それは私がスティルグに与えた神槍ヴェルーラだった。おそらく最初に光の鎖から逃れる時に仕込んでいたのだろう。足から延ばした糸と壁に突き刺したヴェルーラを結び付けてもしもの時に攻撃として使おうと。もちろん傷つけることが目的ではなく私の意識を逸らすことが目的だ。私が動揺して鎖の拘束が緩まればとスティルグは考えたのだろう。

 だけれど、今の私はこの程度の驚きでは鎖の拘束は緩ませない。


「ちっ……精神的にも成長したってか!? 拘束が緩まねぇ」

「当然でしょ。というか発言が悪役だし、女神に槍をぶつけようとするのって大罪よ」

「いや、元々あんたの持ち物だった槍だし、自分の持ち物で傷つくような女神様じゃねえだろう?」

「変に信頼されているわね」

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