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女神ステラの世界が救われた話をしよう-饒舌になった寡黙な騎士-

「女神ステラの近況は噂で聞いている。各地で魔王の汚染を浄化していたと」

「ええ、女神の力を使っての汚染だからステラ以外には対処できないし、ステラが立ち向かわなきゃいけない問題よ」

「そちらは任せる。私は私で為すべきことを今後も行おう」

「そうして頂戴」

「だが、困ったことがあれば自分だけで解決しようとしないことだ。今の女神ステラにとっては力不足なのは承知しているが私も他の仲間も助けになりたいと思っている」

「……ありがとう。とても頼もしいわ」


 本当にありがたい言葉だ。

 あの旅で沢山の苦労を経験した結果、自分一人が如何に力を持っていても出来ないことがあることを知った。長い長い年月を生きてきて初めて私が正しく成長出来た数年間だった。


「しかし、ライザック。あなた随分と饒舌になったじゃない。旅の間はうむとかああとかしか話さなかったのに」

「そんなことはあるまい。言うべきことは言っていた。旅の間というなら他の者達が騒がしく、話す間が無かっただけだ」

「確かにおしゃべりがいたからね。アルガトとか」

「後はスティルグだ。槍の腕前は信頼していたが騎士でありながら軽薄な奴は常に苦手であった」


 私とライザックはスティルグがいるはずのミグリットの王城へ視線を向ける。

 ライザックが苦手というスティルグはミグリット国の騎士だ。確か噂では魔王を倒した功績から副騎士団長へと昇進したと聞いている。

 槍の腕前は間違いなく国随一、いや、世界で一番かもしれない。少なくとも魔王軍の幹部と一対一で戦い、勝てる者は他にライザックしか私は知らない。

 様々な功績を素直に考えれば騎士団長やそれに並ぶ階級へ昇進しても良さそうなのだが、彼の性格を知る者達からすればいくら功績を立てようとも一番上位の役職には着けにくいのだろう。

 正直、私もその考えには同意する。スティルグが上司とは部下の人々が大変苦労しそうだ。おそらく現在進行形で上司も部下も苦労しているだろうけれど。


「あなたとスティルグは相性悪かったものね。片や巨躯の大剣使いに片や細身の槍使い。一度、ブレスブレムの闘技場で戦ったことあったわよね。あなたが負けたけど」


 確か戦った理由はスティルグがブレスブレムのリゼ殿下に無礼を働いたことが発端だった気がする。


「あの試合では私は冷静さを欠いていた……いや、言い訳はすまい。スティルグが勝つために私に冷静さを失わせたのだと理解している。戦いは試合前から始まっていた。言うならば戦いの準備を怠ったがゆえの必然的な負けであった」

「スティルグはもう一回やったら勝てないってボヤいてたけど」

「私も負けるつもりはないがあやつの言葉だ。真実ではあるまい。どうにか勝つ手段を算段するはずだ」

「不思議な関係ね。別に仲良しばかりの旅の仲間じゃなかったけれど、皆が皆をいろいろな形で信頼していた」

「そうでなければ旅は続けられなかった。そうでなければ魔王は倒せなかった」

「……うん」


 城を裏手をグルっと回って歩いていると再び人通りが多い通りにまで来てしまった。私がこれからどうしようかと迷っているとライザックが私に向き合ってきた。


「女神ステラよ。あなたはまだ街を見て回る予定か?」

「ええ、人々の活気はいくら見ても飽きないもの。それにお城に行ったら懐かしいみんなが集合しててそちらの方が楽しいから。きっと結婚式が終わるまで街には出られないでしょうし」

「では、私は一足先に城へと向かおう。ミグリット王への言伝もある」

「そうだったの? だったら引き留めてしまったみたいでごめんなさい」

「気にするな。私としても話が出来て良かった。続きはまた後で」

「ええ、またね。姿の方はお城の前くらいまでは別人に見えるようにしておくわ」

「近くにいなくても解除できるのか?」

「今のステラならできるわ、女神よ」

「……知っている。では、城の近くまではお願いしよう」


 ライザックは軽く会釈をすると城へ向けて歩いて行った。

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