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女神ステラの世界が救われた話をしよう世界-ライザックと過去話-

「ライザック、他人に見えている今のあなたの姿は二回りほど小さいわ。注意していないと向こうからぶつかってくるわよ」

「了解した」

「じゃあ、気を付けながら行きましょう」


 ライザックと共に歩き始める。彼はそれなりの人通りの中を誰ともぶつからずに歩き続けていた。反応と判断が的確でなければライザックにぶつかり怪我をする人達が大勢出ている状況だ。

 内心ひやひやしながら私はせめてもう少し人通りの少ない場所へ行こうと歩き続ける。ようやく人通りが疎らになった頃にはミグリット城の裏手にまで来てしまっていた。


「城を通り過ぎたな。素直に城へ向かえば良かったのではないか」

「分かってるわ。ちょっと後悔中。もう少し街の様子を見ておきたいって気持ちがあったせいね」

「……そういえばエメオールもいたようだが彼女はどうした?」

「お茶して近況を話し合っていたわ。貴方が困っているのを見つけたから解散したけど。彼女と一緒だとどうしても目立つでしょ」

「なるほどな。エメオールが睨んでいた理由はそれか。あれほどの殺気は一年ぶりで少々驚かされた」

「その言い方だとこの一年は特に争いもなかったみたいね。魔王を倒したといっても残党はいると思うんだけど」

「残党との戦いは続けていた。しかし、残党にはもう強者はいなかったのでな」

「それもそうね。一年前の戦いで魔王側に組していた強力な魔族達は全員倒しているし、残っていたら逆に驚きね。最後の戦いの時、どこにいたのよって」

「まだ油断はできん。魔王の後釜を狙い隠れている者がいるかもしれない」

「後釜ね。そこはステラが同じ過ちを繰り返さないようにしないとね」

「全ては女神ステラが魔王に全能の力を奪われたことから始まったのだからな」

「いくら謝っても……いくら反省しても足りない過ちよ」


 私のせいでこの世界に生きる者達の命がたくさん失われた。自然は破壊され、丸ごと消えてしまった国もある。もう二度とあんなことは起こしてはいけない。


「っと、いけない。今日はお祝いなんだから悲しい話は少し置いておきましょう」

「……であるな」

「ライザックの近況も聞きたいわ。さっき残党と戦っていたとは聞いたけど」

「特に話すようなことはない。私の状況はさして変わらない。ただ君主の命に従い戦う。それだけだ」

「リゼ殿下はお元気?」

「お変わりはない。政務に励んでおられる」

「あなたの国、グルスブレムも大変でしょう。魔王が居なくなったとはいえ魔族への多種族からの風当たりは強いでしょうし」

「そうでもない。元々我が国は魔王とは敵対していたからな。今はむしろ同族である魔族への対応に苦労している。魔王側に組しており、こちらへ降伏してきた者達への対応がな」

「利が無くなって寝返ってきた者達だものね。お気楽に歓迎はできないか」


 ライザックが仕えているブレスブレム国は多くの魔族の国が魔王への恭順をしていたあの頃、唯一魔王へ明確に敵対をしていた国だ。それだけに他の魔族からの攻撃も辛らつで国自体が滅びそうになったこともある。

 私と勇者殿がライザックと出会ったのは彼がブレスブレム国を救う協力を他国に求めて回る旅の途中だった。同じような目的もあったためライザックと旅を共にすることになった。旅の最中、勇者殿はライザックから剣技を学んだ。勇者殿曰く人生も学んだらしいけれど、その辺りはよく分からない。でも勇者殿が今の立派な勇者殿になれたのはライザックのおかげであることは間違いない。

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