女神ステラの世界が救われた話をしよう世界-仲間の話-
「交渉の仕事は上手くいっているの?」
「全然です。向いてないんですよ、私。基本的に人と話すのは苦手ですから」
「今こんなに楽しく話しているじゃない」
「貴方様は特別ですから」
「そうなの?」
「そうなんです」
エメオールが言い切るので彼女的にはそうなのだろう。女神なので人とは違い苦手ではないということだろうか。しかし、姿は人と変わりないのだから人と話すこととそれほど違いがあるとは思えない。
「でも、仕事が上手くいってないのは大変ね。何か手伝いましょうか?」
「だ、大丈夫です! 貴方様のお手を煩わせることでは。それにアルガトの奴に手伝ってもらっていますし」
懐かしい名前がエメオールの口から出た。勇者殿の仲間として一緒に戦った弓の名手であるエルフの青年だ。厳しいエルフの掟を嫌って自ら外へ飛び出した変わり者で社交性は仲間内で一番あったと思う。何度も彼には笑わせてもらった記憶がある。旅の中で厳しく辛い場面を乗り越えてこれたのは彼、アルガトの明るさがあったからだと思える。
「アルガトか。彼は元気?」
「あいつが元気じゃない時はありませんよ」
「そうね、いつも楽しそうな笑顔の印象しかないわ。でも貴方がアルガトを頼るとは意外ね」
「アルガトが私の部族の所にいた時に交渉を頼まれたのでそのまま巻き込んだだけです。面倒事は全部押し付けようとしたんですけど……あいつ、あの手この手で私を逆に巻き込んできて」
「旅の最中も思っていたけど、貴方達はいいコンビだったわよ」
「やめてください。あんなうるさい奴とコンビなんて」
エメオールは不服らしく歯を食いしばって苦い顔を浮かべる。けれど、最初に出逢った頃に何をしても表情一つ変えなかったエメオールを知っているだけにこの変化は私にとって喜ばしい。
「ちなみにアルガトは一緒に来てないの?」
「別行動です。あいつはまだ仕事があったので私だけ先に来ました。仕事押し付けてきたんですけどね」
「あらら、アルガトも大変ね」
「あいつもなんだかんだで同じエルフ族と一緒に行動できるの楽しいみたいですよ。私ほどじゃないですけど、他のエルフからは毛嫌いされていましたし」
エルフの森の外で自由奔放に暮らすアルガトはエルフの森の重鎮からすれば面白くない存在だったらしく、アルガトはエルフの森に入ることはおろか、他のエルフと関わることすらも禁止されていた。当然そんな処罰を受けているアルガトと関わろうとするエルフもいなかったため、彼は数百年間エルフと会話したことすらなかったらしい。その反動とでもいうのか他の種族達との関わりを増やしていったアルガトの交友関係は広く、旅の途中で立ち寄る街に必ず一人は知り合いがいるほどだった。
そんなアルガトも魔王を倒すことに協力したことで森の重鎮達に許されて禁止されていた森への立ち入りとエルフと関わることが出来るようになっていた。
「エルフの長老達も少しは頭を柔らかくしてもいいのにね。素直に認めてあげればいいのに」
「プライド高いんですよ、長く生きている分」
「私はその長老達の何倍も生きているけど、プライド高いかしら?」
「いえ、そういう意味で言ったのではっ!!」
予想以上にエメオールが動揺してテーブルに置いてあった飲み物をこぼしそうになったので慌てて訂正する。
「じょ、冗談よ。落ち着いて」
「冗談にしてはきついです」
「そう? 今のそんなにきつい?」
「ええ、そうです。貴方様に嫌われたらと思うと私はもう生きていけません」
「大袈裟ね。私が貴方を嫌うことなんてないから安心して長生きして」
私の言葉に安心したエメオールは飲み物を口にして窓の外に視線を送る。そこで何かを見つけたのか驚いたような表情を浮かべ、飲み物も口に当てたまま固まってしまった。
何だろうと私もエメオールが見ている方向を見ると思わず声を上げそうになってしまった。
「!?」
私とエメオールの視線の先には赤い甲冑を身に纏った巨躯の騎士がいた。身長は民家の二回の窓枠に頭が届くかというほどの大きさだ。その大きさゆえにとても目立つ騎士の周りには人だかりが出来ていた。
「あの人は何やってるんですか? あの体で街中歩けば目立つに決まっているでしょ。せめて鎧を脱ぐとか」
「それでも目立つわよ。それに彼は魔族だし。大丈夫だと分かっていても人間が多い王都では素顔は見せにくいわ」
私達が見つめる先で魔族でありながら魔王を倒した勇者の仲間の一人であるライザックが集まってきた人々に対してどう対処したらいいのか分からず慌てふためいていた。
新キャラの名前ばかりが続々と




