女神ステラの世界が救われた話をしよう世界-再開エルフ-
ミグリットの王都に着くと勇者殿と姫様の結婚式が近いということもあり、至る所でお祭りのような賑わいが出来ていた。住民は皆浮かれ気味で笑顔浮かべながら騒ぎまわっていた。
「確か小規模で祝うんじゃなかったかしら? でもまあ、無理よね。いろいろと悲しいことが続いてそれが終わって楽しい出来事が起こったんですもの。はしゃぐなという方が無理ね」
私は魔法で変装をして人混みに紛れながら王都を歩く。
露店も出ており、ミグリット名物のイモ焼きや串焼きの匂いが私の鼻をくすぐる。食べ歩きをしていきたいが、城での出迎えを考えるとあまり食べるのは避けたい。そもそもお金をまったく持っていないので買えないのだけれど。
女神であるために金銭とは無縁で過ごしてきた。食事は神官が用意してくれたし、神殿には果実が実っている木もあったため、食べ物を買うという行為は勇者殿との旅で初めて経験した。
最初は私も勇者殿もお金を持っていなかったため一食を得るためにもかなり苦労をした。それだけにその時の食事は大変美味しかった。それ以来、私は食事を楽しむようになった。私は別に何も食べなくても生きていけるし、存在し続けることができる。食事という行為は人々と共に過ごすために行っていただけで昔は特別美味しいと思って食べていたわけではなかった。
それが今でも各地の食べ物を食べるのが楽しみになっている。
勇者殿達との旅で美味しいモノ、不味いモノといろいろと食してきたおかげだろう。
「食べたい……けど、お金がない。こんなことなら旅で稼いだお金を変な言い訳しないで少しもらっておくべきだったかしら。いやでも女神がお金を報酬として得るってまだどうにも恰好が……」
我慢を続けている内に次から次へと美味しそうな食べ物を出す屋台が目に入ってくる。お腹は空いていないはずなのにお腹から音が鳴りそうになった時、知り合いの後ろ姿が目に入った。白銀の髪をしたエルフの女性だ。彼女の周りだけ近づくのが恐れ多いという風に少し空間が出来ていた。
私は久しぶりの再会に少しテンションを上げて駆け寄っていく。
「エメオールッ!」
名前を呼ばれたエメオールは鋭い目つきで振り返ったが、呼んだのが私だと気づくとすぐに目元が緩んだ。
「ステラ様っ!!」
両手を胸の前に組んで感動したように目を潤ませた。久しぶりとはそこまで感動することだろうか。
「久しぶりね。元気だったかしら?」
「はい、元気です。ステラ様は」
「ステラも元気。ちょっと後始末で疲れはしていたけどね」
「私にお手伝いできることがあればなんでもおっしゃってくださいね」
「そうね。何かあればお願いするわ」
「お待ちしております」
エメオールが笑顔を浮かべると周囲の人々から男性からどよめき声が聞こえてくる。理由はエメオールがエルフであり、女神である私が認めるほどの美人であるからだ。身長は私より若干低いのに胸は私の数倍大きい。男性としては否が応でも目線が行き、少し遠巻きに見てしまうのも仕方ない。
どよめき声の中から私の名前を呼び声も聞こえてくる。
しまったと瞬間、私は後悔する。
銀髪のエルフ女性でエメオールといえば勇者殿と討伐した仲間として有名だ。顔は知っていなくても名前と風貌は伝わっているはずだし、そのメンバーからステラ様と呼ばれる存在となると女神以外にいない。
英雄が現れたという事実が瞬く間に周囲に伝播していき、人々から一段と高い歓喜の声が上がった。




