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次の遊びの約束を

 終日海外ドラママラソンを続けているため正直日付の経過している感覚が薄い。スマホは着信が無ければ基本見ることはないし、テレビはドラマ専用となっているのでコンビニで見かける週刊誌で曜日を認識するようになっていた。

 だから香織と両親の面談があってから何日経ったのか曖昧になっていた。

 今日が月曜日だと昼食を買いにコンビニへ言った際、販売していた週刊誌を見て確認した夕方、久しぶりにスマホが震えた。見ると香織からの着信だった。


「ステラよ」

「久しぶり」

「そうね、たぶん」

「たぶん?」

「うーん、いやね、最近起きている時はずっとドラマ漬けだったから曜日感覚があまりなくてね。前に香織と会ったのはいつだったのかも記憶がおぼろげで」

「それはいくらなんでもやばくない?」

「正直今まで見てなかった分を消化しようと無理してたとは思うわ」

「体調大丈夫?」

「ステラには無用の心配よ。それより何か用事じゃないの?」

「うん……今からちょっと会えない?」

「いいわよ」

「いいの? ドラマ見てるんじゃ」

「ドラマはいつでも見れるわ」

「曜日感覚なくなるほど見てた人が言うセリフじゃないって」

「それもそうね。どこに行けばいい?」

「最初に会ったコンビニ。私はもう着いてるけど急がなくていいよ」

「分かった、すぐに行くわ」


 洗面台で軽く身だしなみを整えた後、少し早足で外へと飛び出した。外は思ったよりも夕焼けが照り付けていて、眩しさに少し目を細めながらコンビニへと向かった。

 コンビニへ着くと香織がコンビニ前に設置してあるU字型の車止めに腰をかけていた。私を見つけると小さく手を振ったので私も振り返しながら近づいていく。


「本当に早かったじゃん」

「部屋が近いから当り前よ」

「それもそうね……」


 少し言葉を交わすと香織が無言になった。


「いつまでもコンビニ前じゃ味気ないし、何処か行く?」

「ううん、ここがいいわ」

「そう?」

 

 私も香織と同じようにU字型の車止めに腰を掛けるとちらりとコンビニの中を覗く。当然夜間シフトの田畑君の姿はなかった。


「ステラはさ、あの時なんで私に声をかけてきたの?」

「あの時って初めて会った時?」

「そう。考えてみれば深夜に子供がコンビニ前にいたら普通に心配して声をかけるのかもしれないけどさ。最初の言葉が何してるのとかどうしてここにいるのかじゃなくて、何して欲しいだったでしょ。ちょっと不思議だったから気になって」

「随分と今更ね」

「ずっと気になってたけど聞く機会がなかったのよ」


 それなりに遊んでいたのだから聞く機会なんていくらでもあったとは思うと疑問を口にしかけたけれどこの場でそれを言って話の腰を折るのはやめておこう。


「恩返しって言ってなかったけ?」

「えっと……日本に住む人に助けられたってヤツ?」

「そうよ。ただそれだけじゃないわ。私って本当に困っている人を見たら声をかけずにはいられないの。女神のサガね」

「ステラの女神発言は置いておいて。あの時の私ってそんなに困っているみたいだったの?」

「ええ、緊張しっぱなしで自分自身も含めて全部嫌いって感じの雰囲気を出してたわ。余裕なんて欠片も見えなかった」

「そんなに? そんなだった?」

「そんなだった。あの時の香織は私が声をかけておかないともう誰の声も届かない場所へ行きそうな気がしてたのよ」

「ステラが言うと本当にヤバメに聞こえるんですけど」

「ヤバメだったわよ」


 ステラに憑りついていたサキュバスは今思えばアルゴロナシスの使い魔だったのだろう。あいつがいつまでも香織の意識を自由にしていたとは思えない。いずれ香織の意識を完全に奪い取って好き勝手に行動していただろう。そうなる前に退治できて本当に良かった。


「……そうだったのか。本当にステラには最初から何から何まで助けれられてばかりだわ」

「何から何までは言い過ぎよ。出来ないことの方が多いのよ」

「少なくとも私にとっては何から何までなの。だからちゃんと言わせて」


 香織が腰かけから立ち上がって私の前まで歩いてくる。


「ステラ、ありがとう」


 正直、最初に香織と出会った頃はここまでいい笑顔を浮かべる子だとは思わなかった。本人に今の言葉を言った時の反応を見てみたい気もするけれど今は感謝の言葉と笑顔を素直に受け取ろう。


「どういたしまして」


 感謝を述べた香織は少し緊張が解けたように息を深く吐く。


「私からも言いたいことがあるんだけどいいかしら」

「……どうぞ?」


 香織に倣うように腰を上げて香織の前に立つ。


「ねえ、あなた、ステラに何をして欲しい?」


 初めて会った時に初めて投げかけた言葉に香織は少し戸惑った表情を浮かべた後、首を横に振った。


「何もないわ」


 少し寂しい気持ちになる言葉だけれど、これは香織が自分で前を向いて歩いている証拠だ。


「……でも一緒にして欲しいことはある」

「な、何かしら」


 予想外な言葉に少し声が上ずってしまう。


「次の土曜日、遊び行こ!」


 何度もした遊びの約束の言葉と香織の笑顔に対して私も笑顔で返す。


「ええ、いいわよ」

この話で香織との話は完となります。

毎日更新を目指していたのにたびたびサボってしまい、

それでもここまで読んでくださった方には感謝です。


気になる点などあれば感想等でいただければお答えしようとは思います。


ステラの休暇自体はまだまだ続いていきますのでこれからもよろしくお願いします。


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