日本語の同音異義語
久しぶりの投稿でございます。
お待ちの方が居られましたらお待たせしました。
ゲームしてましたすいません。
香織は少し悩んだ後、小さく言葉をつぶやいた。
「……できるかな」
「できるわよ。香織はズバズバ言いたいこと、やりたいことを言う子じゃない」
「そんなに言ってた?」
「言ってたわ。今日の買い物だって香織の方が強引に誘ってきたじゃない」
「それは……遊びたかったし」
「香織はもっと我が儘でいいのよ。両親に対してはね」
周囲の陽気なカフェの雰囲気に反して空気が重くなっているので話題を少し変えることにした。
今日は遊びに来ているのだから楽しまなくては。
「でもステラに対しては少し遠慮してね」
先ほどよりも明るい口調で私が言うと話題の切り替えを察した香織の表情が柔らかくなる。
「なによそれ~。私と遊ぶの嫌なの~」
「嫌じゃないけど……最近忙しかったせいで本当に見たいドラマが溜まっててね。前に見てたドラマの新シリーズも始まったりで」
「ステラはどうせ昼間暇してるんだから、その時間に見ればいいでしょ」
「だから最近ようやくその時間が出来てね。睡眠時間を惜しんで見続けてるわ」
自分で言ってから今感じている精神的な疲れはアルゴロナシスとの戦闘の後遺症ではなくて単に寝不足のせいではないかと思い始める。昨日も昼間にドラマを見始めて今日の昼頃まで見ていた。その後に寝オチしたけれど、香織と遊ぶために起きたため実質2時間程度しか寝てない。
「海外ドラマだっけ? 見てるの」
「日本のドラマも見てるわよ。時代劇とかシリーズ多くて見飽きないわね」
「時代劇ってステラ、趣味がお爺ちゃんよ」
「偏見やめなさい。面白い作品はいつ作られたモノでも面白いのよ」
「前から疑問だったんだけど、逆にステラは今放送しているドラマ見てるの?」
「見てないわね。昔の作品を視聴するのに精一杯よ」
「私は今放送しているドラマの話題なら出来るのにな」
「そうなの? じゃあ、話のタネに見てみようかしら」
「うん、見てみなよ。おすすめは水曜日やってる刑事ドラマでね。主役の俳優さんがカッコいいの! イケおじってヤツ」
「いけ……おじ?」
久しぶりに聞きなれない単語を聞いて首をひねる。
「あー……説明必要?」
「待って、推測するわ」
三年間こちらの世界にいるのだからこの手の単語は元々ある単語の組み合わせであることはいい加減に理解している。ならば既存の知っている単語の組み合わせで意味を求められるはずだ。
「まずは俳優がカッコいいって説明が合ったから、おじは多分オジさん、中高年の男性よね」
「そうそう、合ってるわ」
「で、いけ、だけど。前に行けとかじゃないわよね。池でもましてや逝けでもないだろうし……日本語って同じ音で違う意味の言葉多くない?」
「そうかもしれないけど……今、考えるのはイケおじの意味でしょ。ギブアップなら説明するわよ」
「もうちょっと考えさせて。いけ、いけ……ゴー? 英語を逆翻訳していたり」
「難しく考えすぎ。もっと単純よ。カッコいいって別の言葉ではなんて言う?」
「素敵?」
「そうだね、そうも言うね。もっと別」
「うーん、綺麗とか整っているとか?」
「そこまで来てるのになんで出てこないの? すごくモヤモヤするんですけど!」
「しょうがないじゃない。それにモヤモヤするのはステラもよ。たぶん知ってるはずなのよね。でも単語が出てこないわ」
精神的疲労で頭が少しぼーっとしているせいもあって思考が上手く回らない。一度落ち着こうと飲み物を口に踏んだ時、ふと答えが私の中から出てきた。
「っ! 分かったわ、香織」
「分かったの!?」
「ええ、いけおじは意地悪なオジさんのことでしょ」
「……えっ?」
「えっ? 違うの? だって【いけず】とか意地悪って意味でしょ。他にも【いけしゃあしゃあ】とか割と非難する方の言葉に付くから……」
「そっちの意味は知らないんですけど」
「……」
せっかく思いついた回答が間違っていたようで若干落ち込んでしまう。
「もう答え言うわよ」
「……ええ、どうぞ」
「イケおじはイケてるおじさんってことよ。単に略しただけでだし、難しくないのよ」
「あーー……」
答えを聞いてみるとなんでその意味を思いつかなかったのかと自分で自分が不思議でしょうがない答えだった。




