後始末2つ
あ、戦闘回です!
遥か彼方に地平線が見える大地に私は降り立った。
最近行ったオーストラリアに似てはいるが違う場所だ。オーストラリアのあの場所は荒野といっても岩や多少の草木が存在していたがここには本当にただ乾いた地面があるだけだ。
ここは世界のどこでもない場所。昼食を終えた後、腹ごなしに作った簡易的な異世界だ。
私の視線の遥か先でこの世界に入った時に投げた石碑が落下した。
ガルバリスが主と崇めていた神が封じられている石碑を洞窟から持ち出してきた。あのまま放っておいて私の知らないところで何かのタイミングで復活されると大変なのでこの場で後始末をすることにした。
「ねぇ、あんた、そこから出れる?」
「キサマ、何ノつもりダ」
石碑から低音の片言な声が聞こえてきた。
「あんたって結構厄介そうだから放置もできないでしょ。だからちゃんと倒しておこうと思って。後始末よ」
「愚カナ、放ってオケバ、キサマがアノ世界ニいる間くらいは無事にイラレタものヲ」
「それじゃ駄目なのよ。あの世界は平和でなきゃね」
「平和ダト? アノ世界で多くの争いがアルコトを知らないワケではあるマイ」
石碑からの声が段々と鮮明になってきた。
「人同士の争いは女神の出る幕じゃないわ。人同士ならまだ平和を目指せるけど、あんたみたいなのがいたら無理でしょ」
「私が唯一無二の存在として君臨すれば争いがなくなり、平和となるぞ」
「恐怖や暴力で支配されたことを平和だなんて呼ばないのよ。で、最初に質問。そこから出れる? 石碑を壊しても復活しそうだけど、ちょっと方法に悩んでいるのよ」
「石碑を壊してみろ。そうすれば私は封印から解かれる。後は貴様を殺して、あの世界を私の物としてやる」
「やっぱり壊せばいいのね」
方法が分かったので私は魔力弾で石碑を破壊した。
「悩んでいたのは石碑を壊してもあんたが封印されたままだったら面倒だなってこと。粉々にしても封印が有効だったら声だけ聞こえてうるさそうじゃない?」
「愚かなっ!!」
破壊された石碑から黒い煙が立ち上り、次第に見上げるほど巨大な人型を形成していく。私は巨大な人型が完成されていくのをじっと見つめていた。
「私を倒せると思っているのか。それとも私に殺されるのを望んだか!」
巨大な人型は背中にとげとげしい翼を生やし、顔の側面からは巨大な二本の角を伸ばしていた。ガルバリスは神と崇めていたが見た目は巨大な魔族だ。口元からは牙を生やして、目は血のように真っ赤だ。これは神よりも魔王と言った方が容姿としては正しい。
「えっと確認だけど、あんたは神でいいの」
見た目で判断してはいけないが不安になったので聞いてみる。
「私はアルゴロナシス。悪神アルゴロナシスだ」
アルゴロナシスが名前を宣言すると同時、周囲に突風が吹き叫ぶ。風が真空の刃となって私を切り刻もうと飛んできたので避ける。私が避けた真空の刃が地面を割り、大きな断層を作り出してた。
おそらく今のはアルゴロナシスの意図した攻撃ではなく、ただ声を発しただけの効果だろう。この話すだけで地形を変えるという規格外さは確かに神のような気がする。
「アルゴロナシスね。礼儀としてステラの方もちゃんと自己紹介しておくわ。ステラよ。今はステラ・サンドウィッチって名乗っているわ」
「貴様の名など覚える気はないわ」
再び発生した真空破と共にアルゴロナシスの拳が飛んできた。防ごうと私は目の前にバリアを展開する。
「無駄なことを」
バリアは真空破を防いだ。だけど、アルゴロナシスの拳に対して薄いガラスのように砕け散る。バリアを砕き、私に直撃した拳は私の上半身の一部と下半身を全て消し飛ばした。




