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天ぷら何から食べる?

 スーパー銭湯と健康ランドはと聞かれたらまずは施設の大きさだと思う。そもそもとして一日過ごせる、もしくは宿泊が出来るのが健康ランドであり、そのための施設が揃っている。スーパー銭湯にも食事処や仮眠出来る場所などはあるけれど宿泊は出来ないし、施設も比較的小さい。

 それでもたまに訪れてゆっくりする分には十分な施設だ。

 私はゆっくりと湯船に浸かった後、これもまたゆっくりマッサージを受ける。休憩スペースで仮眠をして起きると施設内の食事処が閉まってしまう直前だった。

 もう少し惰眠を貪って夕食は外でという思考が横切ったが、こういう場所での食事をするのも醍醐味の一つと眠気が残る頭を振って食事処へと向かった。

 食事処のスペースに座っているお客は私の他には少し離れた所で湯上りビールを飲みながら備え付けのテレビで野球観戦をしているお爺ちゃんだけだった。

 湯上りビールとは美味しいとはたまに聞く。けれど個人的にはやはり牛乳だ。実際に今日も湯上りに実践してきた。場所との相乗効果もあって美味しさが数十倍に感じた。

 湯上りに牛乳という文化は私の世界には無い文化なのでぜひ普及させようと思う。牛乳に関しては牛はいないけれど似たように乳を出す動物がおり、その動物の乳も飲み物として普及している問題はないはずだ。

 考え事をしていてラストオーダーの時間を過ぎてしまってはいけないと気付いて慌ててメニューに視線を落とす。地方であればその土地特産のおすすめ一品などあるのだろうけれど、ここは街中のスーパー銭湯なのでそこまで地域色のある食べ物はなかった。定番のカレー、蕎麦、ラーメンが画像付きで美味しそうに表記されている。

 こういう場所でのラーメンの味付けはどうなのだろうかと興味をそそられつつも、大きな鶏天が乗った蕎麦も美味しそうだと悩む。視界の端に牛玉うどんという見た目で食欲をそそるナンバー1が現れてしまい、もう全て頼んでしまいたい衝動に駆られる。しかし、当然食べきれるわけはないので一品だけを注文しなくてはいけない。

 メニューを読み進めていくとご飯物と定食が続く。ネギトロ丼にソースかつ丼、天丼と続き、生姜焼き定食に刺身定食とさらに私を悩ませるメニューが揃い踏みだ。

 このままでは本当にラストオーダーの時間が来てしまう。

 ここは苦渋の決断として最近あまり食べていないモノを選ぶことにする。昼頃におにぎり、具としては鮭と筋子、そして卵を食べた。こうなるとご飯物が除外となる。その前はオーストラリアでミートパイとパンとケーキ。お肉関連も除外対象とし場合、残ったのは蕎麦だ。

 蕎麦には鶏天のようなトッピングがあるけれど基本的には野菜だ。そしてメニューの中には天ざる蕎麦があった。

 もうこれしかないと店員さんを読んで天ざる蕎麦を注文する。天ぷらの種類を追加できるということなのでナスを一本追加した。

 しばらくすると天ざる蕎麦が私の目の前に運ばれてくる。

 天ぷらの乗った皿にざる蕎麦、そして蕎麦つゆと薬味。ここで新たに問題が一つ発生した。それは天ぷらと蕎麦、どちらを最初に食べるかという問題だ。だけど、この問題には揚げたての暖かさという優位性により私は天ぷらを選択した。

 それでもなお問題は継続する。

 天ぷらには種類がある。海老、レンコン、オクラ、カボチャにナス。海老は大物なので最初ではないとして除外したいが、暖かいうちと考えるとこの瞬間に海老を食べるのが一番美味しいのではないか考えたりもする。そう考えてしまうと他の食材も当然暖かいうちがいい。レンコンはサクサクとした食感、カボチャは言わずもがな甘さと柔らかさ、ナスは水分を多く含んだまま揚げられているのでジューシーだ。オクラのネバネバ食感も冷えると減少してしまうかもしれない。

 悩み悩んだこの一秒にも満たない時間。

 私の意思は決定してナスを選んだ。理由としては私が追加注文した食材というだけだ。それ以外他の食材と比べて優先度がなかった。

 塩を少し付けて口へと運ぶ。サクという気持ちのいい音と共に口の中にはナスが内部含んでいた水分が溢れ出して独特の食感が味覚を刺激する。

 見た時から感じていたけれどこの食事処の料理人は腕がいい。ナスの天ぷらは定番ではあるけれど、天ぷらの中でも揚げるのが難しい食材だ。ナス自体が水分を多く含んでいるので普通揚げると衣がベトベトになってしまう。自炊していた時期に何度か試したけれど結局私は一度も上手く揚げられなかった。

 この時点でもう今日の夕飯はこの食事処に決めて正解だったと確信する。

 次も天ぷらと行きたいところだったけれど、さすがにメインを蔑ろにするのは申し訳ないので蕎麦に箸を伸ばす。さすがに店内で打っている蕎麦ではないが、それなりに有名な生蕎麦を使用していた。ネギを蕎麦つゆに投下して軽く混ぜた後、ワサビを小さく掴んで蕎麦の上へと置く。蕎麦つゆにワサビを溶かす人もいるけれど、私はワサビは溶かさずに蕎麦と一緒に食べる派だ。その方がワサビの味を味わえるからだ。

 実のところ、最初はワサビの味が苦手だったが今では好きな味になっている。この世界に来てから多少味覚が変わったのかもしれない。

 蕎麦を蕎麦つゆに付けてすするとワサビのツーンとした味と蕎麦つゆの味、そして蕎麦の風味が嗅覚と味覚を同時に刺激する。短絡的に言ってしまうととても旨い。

 そこからはもうノンストップだ。海老はプリっと揚がっていて衣のサクサク感と程よい弾力で味わい深かったし、レンコンはホクホクサクサクで食べ応えが一番だった。カボチャは甘いし、オクラのネバネバはしっかり残っていてそれが天つゆと良く合った。

 最後の最後に蕎麦をすべて食べた後、残った蕎麦つゆに蕎麦湯を入れて一口飲む。これが最後の味わいというばかりの蕎麦つゆの塩気と蕎麦湯のトロみを感じて私は箸を置いた。

 ごちそうさまと手を合わせて片づけをしていた店員さんにも美味しかったですと声掛けをして会計を済ませる。

 久方ぶりに大満足をして外に出ると夜空に星が輝いており、私は気分が良いまま家路に着いた。路に着いた。

基本執筆時間が21時過ぎからなので食事関連の話を書いているとお腹が空くのです。

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