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高層ビルにいると真下からの電波は届きにくいらしい

 夜空から見る街の光景はいつもと変わりがない。範囲探索魔法を使っているが周囲に怪しい反応は見つからない。小さく悲鳴が聞こえた気がして駆けつけてみてもオヤジ狩りの現場だったり、タチの悪いナンパに絡まれた女性だったりで清隆君ではなかった。それらを解決したために時間を取られてしまい、もう清隆君との電話が切れてから一時間は経っていた。

 私から電話をかけてみてもコールすらならない状況になっている。電波が通じていない状況だけは分かっているので今は電波が通じそうにない場所を中心に探索としている。

 近場で地下に空間がある施設は全て調べ終わり、私は郊外へと足を延ばす。起伏のある場所や地上でもコンクリートに周囲を囲まれた場所は電波が通じにくいと聞いたことがあったのでそういった場所へも探索を広げる。

 前回のように大規模な攻撃でもあれば居場所は明確になるのだけど、それを望んではいられない。あれほどの攻撃が放たれれば周囲への被害はとんでもないことになる。

 焦る気持ちと共に足が速くなる。

 清隆君はけっして弱くはない。むしろ充分に強い。異世界を救ってきたのだから当然の実力だ。まだ私に見せていない本気の力もあるだろうし、そう簡単に負けるとは思わない。

 だけど、連絡が付かない現状では不安ばかりが増していく。

 真っ暗な夜空を飛び回り続ける中、何度も電話をしていたせいで電池が切れかけているスマホを見ると午前4時を過ぎていた。始発の電車が動き出したのか遠くから音が聞こえてきた。

 高層ビルの屋上に降りて一回全身を伸ばす。大きく息を吸って焦る気持ちを少しでも落ち着かせた。


「女神だって日頃から言っておいてこれじゃ情けないわ。斎藤君達にも迷惑かけたし……ネガティブになりそう」


 集中して周囲に探索魔法を走らせる。高所から放つので障害物が無い分、大きく拡散していく。清隆君の気というか魔力波形はこの世界の人々に比べて特質して大きいため探知魔法に引っかかればすぐに分かるのだけど反応がない。


「結構な広さで探索したんだけどな。関東近郊にもいない? でも、清隆君の移動速度を考えると一時間くらいで関東を離れるほどの距離は移動できないだろうし。電話も繋がらないことを考えるとかなり深い地下……」


 高層ビルから地上へと降りて今度は地下に向けて探索魔法を走らせる。地下鉄や駐車場、いくつもの地下空間を発見できたが、どこにも清隆君らしい反応はない。

 成果なしと溜息を付いて近くの建物の壁に背中を預ける。夜通しの捜索は体力よりも精神的な疲労が大きかった。一旦家に帰って何か案を考えるべきだろうか。今はいろいろと焦っているので落ち着いて考えられる時間が必要なのかもしれない。

 そう考えて壁から背を話した時、視界の端に黒い影が路地に入るのが見えた。

 いつか見た使い魔の黒い人影だ。見間違えかもしれないが今ここで追わない選択はない。

 慌てて黒い人影が入った路地へ行くと黒い人影は路地を向けて表通りへと歩いていた。追って一足で路地を向ける。捕まえても使い魔なので何も話すことはできないだろうが、使い魔を触媒などにすれば本拠地などが分かるかもしれない。

 しかし、私が表通りに出ると既に黒い人影は遥か彼方の位置にいた。高速で動けるにしてはぎりぎり私に発見できるような位置に留まっているように思えた。


「誘っている?」


 清隆君も同様の手口にあって人影を追ったのだろうか。確かに向こうから誘ってくるのは手掛かりがない私達にとって大歓迎な状況だったけど、罠があからさますぎる。これだったら清隆君はせめて私の合流を待つべきだった。見つけたら一つ説教をしなくてはと付かず離れずの距離感を維持しながら黒い人影を追う。

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