ショッピングという言葉には「見てまわる」という意味もあるらしい
最近、この二人イチャイチャしている感がありますね。
私の方からも返信しようとしたがその前にメッセージが取り消されてしまう。
「なんで消したの?」
「いいでしょ、別に。ちょっと間違えただけ。操作ミス」
理由になってはいないけど追求すると香織の機嫌を損ねそうなのでやめておこう。私が覚えていればそれでいい。
「遊ぶとしてどこに行くの? またショッピング?」
「見るだけなら。お金に余裕ないから出来るなら電車移動もしたくない」
「近場ってことなら渋谷? 原宿まで歩いてもいいけど」
「その辺りは定期内だから大丈夫。渋谷かな。お店見て回るだけなら原宿より歩きやすいし。そうだ、今度はステラの部屋の装飾品買おうよ。結構殺風景だったし」
「そう?」
「なんていうか必要最低限のモノしか置いてない気がした。趣味的なモノがなかったわ」
「今の趣味は海外ドラマ視聴だからね。それも別にグッズ集めるほどじゃないし」
「観葉植物とか可愛い置き時計とか在った方がいいよ」
「時計はスマホ見れば時間分かるから置く必要が感じないけど」
「別に時間を見るためだけじゃないよ。目の保養とか言うじゃん。可愛いモノ見て癒されるというかさ」
「それならネットで猫とか犬とか動物の動画見るわ」
「ああ、うん、可愛い動画多いよね。私も見てるって……そうじゃなくて」
SMSの返信でノリツッコミしてくる今の香織こそ可愛らしいと私は思う。
「部屋の家具の色を好きな色に統一するとかさ。毎日が過ごしやすくなるんじゃない?」
「色ね。確かに今の家具は特に色を気にして買ってないからバラバラだけど」
部屋の中を改めて見直すとベッドのシーツはグレイで、枕は黄色、掛け布団は青だ。床に敷いているカーペットの柄は緑と白の四角いタイルで分かれているタイプ。カーテンは窓で色が違う。テレビ台やテーブルは両方とも白色だけど、こう全体を見てみるとなんか目が痛い。
「せめてカーテンの色は同系統にするべきかもね」
「じゃあ、主目的はカーテンね。その他は気になるものがないか見て回りましょう」
「分かったわ。五日後でいい?」
「私はいつでもいいって。ステラの都合次第」
「ステラとしてもさっき言ったけど五日後なら大丈夫。それまでに終わらせるわ」
「じゃあ、スケジュールしておくね。前日くらいに集合時間とか連絡する」
これから大捕り物があるのについ五日後の約束をしてしまったけれど、これもフラグになってしまうのだろうか。だとしても後でやるべきことがあるとヤル気を増してくる。
香織との出会いから始まった騒動の一つをここで解決すると私は改めて決意した。
香織とSMSで会話を続けていると清隆君から着信が入った。わざわざ電話してくるということは緊急だろうか。香織に断りを入れてから電話に出る。
「ステラさん!」
電話に出た直後、スマホから清隆君の大声が発せられて驚く。
「い、いきなりどうしたの!?」
「使い魔らしき者達を発見しました! 一体は倒しましたが残りは逃走。今、追っているところです」
「ま、待って、清隆君、一人で深追いは危ないわ。残っている奴は手ごわいはずだからステラが合流するまで待って。明後日にはステラの力も使える。そうすればどちらにせよ見つけられるわ。今無理する必要はないから」
「そうかもしれませんが、今もし倒すことが出来れば明日明後日出るかもしれない被害者を無くせます。もう少し追ってみます。大丈夫です。これでも引き際は分かってます。通話しながらでは追いにくいので電話は切りますね。一旦報告したかっただけですので。では」
「清隆君!?」
私の返事を待たずに清隆君が電話を切ってしまった。どう考えても嫌な展開しか浮かばない。でも、清隆君を追おうにも私に彼の居場所を知る方法がない。香織のように探知魔法を付けておけば良かったと後悔するが遅い。
見つかる可能性が低いと思いつつ、清隆君に再度電話をかけながら私は夜の街へ再び飛び出した。




