ある人曰く、「親友」には癒し効果があるらしい
古着屋では試着して良さそうだったデニムパンツとブラウス、そして香織がしつこく勧めてきたのでワンピースも購入した。
「香織は何か買わなくていいの? せっかく来たのに」
香織は私の服選びばかりしていた自分の買い物はしてないように見えた。
「いいの。今日はステラの買い物に来たんだし。それにお金が無いから買えません。お金と言えばステラって働いてる風には見えないけど、いつ稼いでるの?」
「最初に言わなかった? 今は休暇中なの。お金は預金からよ。しばらくは働かなくても困らないくらいは貯めているの」
貯金といっても実際にお金ではなくてこちらの世界に持ってきた宝石や貴金属だ。都度売り払って生活費にしているけど、予定している100年は持つだろう。
「優雅ねぇ。あー私も遊んで暮らしていきたい」
「遊んでばかりいると逆に退屈よ。刺激がないというか……たまに働きたくなるわ」
「うわぁ、私は絶対それだけは思わない自信ある」
原宿の込み合う人混みの中をぶつからないように香織と並んで歩いていると香織と同じ制服を着た女子高生と遭遇した。香織と女子高生はほぼ同じタイミングでお互いを見つけた。
「げぇ」
「香織じゃん。何よ、今の? 親友に失礼じゃない?」
「親友? 最近私の悪口ばかり言っている奴が?」
「悪口って事実を言ってるだけでしょ。パパ活とオヤジ狩りをして稼いでるって」
「パパ活はやってたけど、オヤジ狩りなんてしてないわよ」
「片方だけでもやってれば一緒よ。オヤジ相手にしてたなんて汚い汚い」
「あんたねぇ……」
知り合いらしい女子高生に殴りかかりそうになっていた香織の肩を少し強く抑えつけた。
「香織、落ち着いて」
「だって、ステラ!」
「遊びに来てるのに無理に話をしてイラつく必要はないわ。関わらずに次の場所へ行きましょう」
「……分かった」
「待ちなさいよっ」
香織が納得してその場を立ち去ろうとしたのに女子高生が呼び止めてくる。香織の最初の態度も悪かったけど、この子もなぜ絡んでくるのだろうか。
「香織、オヤジの次は女の人? 見境なさすぎて尊敬出来るんですけど」
笑いながらからかう女子高生に対して香織の肩が小刻みに震える。私が両肩を掴んでないと飛び出していきそうだ。
「ねぇ、何とか言いなさいよ。あんたでもいいけどさ。香織なんかと一緒にいると大変な目に合うわよ」
女子高生が今度は私に矛先を向けてきた。
「大変な目ねぇ」
実際に香織が巻き込まれただけの被害者とはいえ香織の周辺での騒動はかなり大変なモノになっている。なので女子高生の言い分はある意味正しい。
「この程度の大変さならステラは平気よ。ステラには返したい恩があるから」
「恩? 香織に何かしてもらったの?」
「香織じゃないわ、別の人。その人本人は返したくても返しきれないほどの感謝があるから、返しきれない分を他の人にってね」
「……あんたもヤバい人?」
今までからかうように笑っていた女子高生の目が怪しい者を見るような目に変わる。
「ステラを馬鹿にしないでっ!」
「香織、ステラの事で怒ってくれるのいいけど、今のは素直な反応よ。香織だって最初はそうだったでしょ」
「そ、そうだったかもしれないけどさ」
怒ってしまった香織をなだめる。
「ふーん、まあ、お似合いってことね。怪しい者同士が一緒居るってことだし」
「……あなたはなんで香織に対して怒ってるの?」
最初の態度は香織が悪かった。だけど、この執着具合にはイラつきや怒りを感じる。女子高生は香織の何かに怒っている。親友と言っていたし学校ではそれなりに仲が良かったことは想像出来るけど、今不仲になった原因はなんだろう。気になったけど、今はこの場で聞ける雰囲気ではない。




